いまや日本人の国民食ともいえるラーメンや餃子。でももちろん、日本で生み出されたものではなく、もともとは中国で作られたもの。今回は日本にいろいろなものを持ち込んでくれた中国人と、日本の偉いお方のお話です。


日本で初めてラーメンとギョウザを食べたのも「黄門さま」？



「黄門さま」として日本人に親しまれている、水戸光圀公。
庶民からは「天下の副将軍」と呼ばれ、その公平な政治は後の世まで名を残しました。
でも、実は光圀、若い頃はとても「気の荒い性格だった」と言われています。
15〜16歳の頃には江戸の町に出て、三味線などを弾いて遊びまわっていたそう。

光圀が変わったのが18歳のとき。
中国の歴史書、司馬遷（しばせん）の「史記」に感銘を受け、学問に励むようになります。
漢学という中国の学問を熱心に学び、人に対する思いやりの心を大切にするようになったそうです。

そんな光圀が、とても信頼し、傾倒した人物がいます。
中国から亡命してきた儒学者の朱舜水（しゅしゅんすい）です。
光圀の起こした行動は朱舜水から影響を受けたものが多く、彼が編纂した歴史書『大日本史』もすべて朱舜水の示唆したものだと言われています。

東京ドームの横にある小石川後楽園は光圀が改修した場所ですが、この名前を付けたのも朱舜水。
范仲淹（はんちゅうえん）という中国の歴史家の言葉「天下の憂いに先じて憂い、天下の楽しみに後れて楽しむ」が由来だそうです。
園内にところどころ中国式の建物が見られるのも、その影響かもしれません。

そして、朱舜水が光圀に伝えた、とても大事なものがもうひとつあります。
それは……「ラーメンとギョウザ」！
朱舜水は料理に詳しく、さまざまな中華料理を光圀に提供したのだとか。

日本で初めてラーメンと餃子を食べたと言われている黄門さま。
これも若い頃に勉学に目覚めたおかげかもしれませんね。

文／岡本清香

TOKYO FM「シンクロのシティ」にて毎日お送りしているコーナー「トウキョウハナコマチ」。江戸から現代まで、東京の土地の歴史にまつわる数々のエピソードをご紹介しています。今回の読み物は「中国の儒学者が、黄門さまに伝えたものは？」として、3月22日に放送しました。

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