――撮影は東京を離れての合宿形式だったそうですね？

合宿ではなく“監獄”と呼びたいですね（苦笑）。みんなで楽しい共同生活！ という感じではなく、夜中から朝まで撮影し、寝て、起きてまた撮影に行き、飯が配られ…ということを繰り返してました。氷点下の富士山のふもとに監禁され、車でしか移動できないから、逃げたくとも逃げられない！（笑）

――共演者には同世代の俳優陣が多く並んでいますね。

やはり、キャスト陣がみんな同世代で若いとワイワイと楽しくなりますね。ただ、歯止めをかけるヤツがいないから盛り上がり過ぎて、よくまあ現場で怒られてました（笑）。



「次の世代を担ってやる！」なんて意識はない



――今回の共演陣に限らず、現在20代前半の野村さんたちの世代は「豊作だ」とよく言われますね。

周りを見渡すとホントに豊作なんだなと思います。いろんなタイプの面白いヤツが多いし、今回のように若いヤツらばかりで映画が作られるってこと自体、このご時世になかなかないことですしね。

――世代として這い上がっていこうというエネルギー、新たな時代の息吹を感じますか？

いま、変わろうとしているのかなとは感じますね。これから新しい世代が主役を担っていく！…と言いつつ、僕はまったくそんな意識はないんですけど（笑）。



――ギラギラと熱いことを仰っていたかと思いきや、あっさりと自分のことは棚に上げましたね（笑）。

正直、僕はないですね、「次の世代を担う！」とか「頑張らなきゃ！」という意識は。先輩方にもよく言われます。「周平、そういう気持ち全然ないでしょ」って。本当にその通りなんですけど。

――上の世代に取って代わるという気持ちだけでなく、周りを見渡して同世代の俳優に対してのライバル心なども…

それもまったくないんですよね。自分の世代を「豊作」と言っといてなんですが、僕自身が幼すぎて、同世代とつるむよりも先輩と飲みに行くことのほうが圧倒的に多いんです。包容力がないとダメなんですよ（笑）。そういう意味で、先輩に甘える力、先輩に好かれる自信は同世代の100倍はあると自負してます！（笑）



自分をほめてあげてもいいんじゃない？



――ライバル意識ではないとすると、ドラマや映画で何度も共演している福士蒼汰さん、山崎賢人さん、菅田将暉さんらが大ブレイクを果たしていくのを、野村さんはどのような視線で見ているんですか？

語弊があるかもしれないですが「負けない」…いや、「負けてない」とは思ってはいますね。みんなそれぞれ個性は違いますし。

――「負けないぞ！」というライバル心ではなく、「負けていない」と静かに自分に言い聞かせるような？

自分の中で、自信を持たないとやっていけないんですよね。だから、自分の芝居を見て「いいね」とほめることもあるし、写真うつりや表情に対して「うん、カッコいいよ」と心の中で思ったりすることも（笑）。自分をほめられるっていいことだなと思うし、この世界で生きていく上で、必要な能力なのかなとも思います。

――意識して同世代の出演作品を見ることもあまりないんですか？

休みの日も家にいるよりすぐに外に出てしまうんで、あまりテレビを見てなくて。飛行機に乗ったりしたときに「あ、これ菅田くんが出てる映画だ！」と気づいて見たりはします（笑）。



――TVよりインターネット派？ PCやスマホはよく使いますか？

TwitterやInstagramはやってます。ただ、交流するというよりは、一方的に自分で思ったことや好きなことをつぶやいてる感じです。Twitterって、そういうもんでいいんじゃないかなと。あと、家のパソコンで最近はNetflixを見てますね。

――Netflixで映画やドラマをご覧になられてるんですね。

マニアックな作品からドキュメンタリー、アニメまでいろんなジャンルがあって面白いです。それこそ、菅田くんの『そこのみにて光輝く』もNetflixで見ましたね。寝る前に3本くらい見ちゃったりします。最近は、初期の『GTO』を見て「昔のドラマ、メチャクチャ面白れぇっ！」って興奮しました。

きれいな映像の中で生きていたい



――また話を戻しますが、周囲の存在は意識せずとも、自分自身で俳優としての高みを目指す気持ちや芝居に対する熱い思いというのはお持ちですか？

それはあります。ただ、芝居に対する思いというよりは、映像の中で自分が生きているというのが好きなんですよね。正直、芝居の上手い下手っていうのはどっちでもいいし、自分でもよくわかんない。それよりもきれいな映像の中で自分が呼吸しているということが楽しいです。

――では今後、俳優としてやってみたいことは？

やはり、芝居に対してよりも映像や作品への意識のほうが強いです。見たこともないような、どうやって撮っているのか分からないような映像を作る人たちと仕事をして、彼らの作る映像の中でリアルに生きられたらと思います。

――ここ数年、映画主演、月9ドラマへの出演など話題作への参加が続いています。これだけ求められる俳優になったという今の状況をどんなふうに受け止めていますか？

正直、まさかこんなにお仕事もらえるようになるとは…。高校卒業と同時に「もう、この仕事やめようかな」とも思ってたんですよ。高校を出たら「お仕事のない日＝お休み」になっちゃうわけで、もう、続けてもしょうがないんじゃないかなって。もう少しだけ…と思って続けたら、なぜか急にお仕事をいただけるようになったんです。

――人生、自分の意図しない方向に流れるものですね。

本当にそうですね。一時期、現場でもあまりしゃべんなくなってたんですよ。もう黙ってニコニコしてればいいやって投げやりな感じで。それが「あいつは真面目ないい子だ」と思われたみたいで良かったのかも…？（笑）最近は「人生、好きに楽しく生きよう」という気持ちで、すごくハッピーちゃんです！（笑）




【プロフィール】
野村 周平（のむら･しゅうへい）／1993年11月14日生まれ。兵庫県神戸市出身。AB型。2009年、アミューズ全国オーディション「THE PUSH！マン〜あなたの周りのイケてる子募集〜」で3万人を超える応募者の中からグランプリを獲得し芸能界入り。2010年、ドラマ『新撰組 PEACE MAKER』（MBS)で俳優デビュー。NHKの連続テレビ小説『梅ちゃん先生』、『35歳の高校生』（日本テレビ）、『恋仲』（フジテレビ）、映画では『クジラのいた夏』主演をはじめ、『日々ロック』、『ビリギャル』など話題作に立て続けに出演。2016年は『ライチ☆光クラブ』に加え、『ちはやふる』『森山中教習所』の公開が控える。現在、放送中のドラマ『フラジャイル』（フジテレビ）にも出演中。特技はBMXにスノーボード。中国語も堪能である。
【Twitter】@n_o_m_u_r_a
【Instagram】qs86_shuhei

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