乃木坂46真夏の全国ツアー神宮千秋楽、37人のアイドルが戦った「乃木坂らしさ」
8月31日、明治神宮野球場。乃木坂46の全国ツアーが千秋楽を迎えようとしていた。
メインステージから、バックステージから、メンバーたちが現れる。それぞれがメインスクリーンに大きく映し出される。最後にスポットライトが当たるのは──生駒里奈。
花道の真ん中にひとりで立つ生駒の目は、きらきら潤んでいる。その生駒めがけて、メンバーが花道を駆けてくる。
「昨日の755、見ましたか?」
耳元で声がする。一緒に来た横の乃木坂ファン(西野七瀬推し)だ。
見た見た。13枚目のシングルで初めて3列目になった生駒は、こう言っていた。
「明日まで、センターやらせて下さい。明後日からはまた新しい場所で自分を高めていきます!」
生駒は、神宮のセンターに立っていた。
「神宮! 行けますか! 集大成、見せつけようぜー!」
今回のツアーのテーマは「乃木坂らしさ」。
ツアー千秋楽の冒頭では、キャプテン・桜井玲香の映像が流れた。
「乃木坂らしさとは何か、自分たちの理想と戦ってきた。私たちは、結成からずっといっぱいっぱいだった」
「自信がなかった。でも、今回のツアーでは、トラブルがあっても、全員でひとつひとつクリアしている。だからこそ、ここで言いたいことがある。勝ちたい。勝って今日を入り口に、グループの扉を開きたい」
彼女たちは「乃木坂らしさ」という言葉を口にする。
乃木坂らしさって、なんなんだろう?
「太陽ノック」「ガールズルール」「夏のFree&Easy」とシングル表題曲で盛り上げれば、「羽根の記憶」「魚たちのLOVE SONG」でしっとりした空気になる。
「無表情(からあげ姉妹)」「ロマンティックいか焼き」はコールを入れるのが楽しい!
そしてメッセージ性や物語性が強い「命は美しい」「気づいたら片想い」……。西野七瀬のソロ曲「もう少しの夢」は、西野はもちろん、乃木坂46のメンバー全員のイメージソングみたいだ。
コンサートでは、メンバーたちが好きな歌詞をあげるコーナーもあった。強い歌詞も曲のキャッチーさも乃木坂らしさだろう。
乃木坂46のアイドルたちは、競争するのが苦手でネガティブ。「アイドルらしくない」と言われる。それもそのはず、オーディションではアイドルらしくない子ばかりを選んだとプロデューサーが語っている。
7月に公開されたドキュメンタリー映画「悲しみの忘れ方」では、アイドルになる前の彼女たちの漠然とした居場所のなさや、アイドルになってからの不安定な居場所が描かれていた。
千秋楽のスクリーンにも、「悲しみの忘れ方」の映像が映る。映画ではあまり登場しなかった二期生やアンダーメンバーのカットも流れる。彼女たちは「不安でしょうがない」と呟きながら頑張っている。
乃木坂46には、AKB48グループのような劇場はない。テレビやライブにたくさん出られるのは選抜メンバーだけで、選抜以外のアンダーメンバーはそうした機会が少ない状況にある。
大きな舞台で披露するアンダー曲「君は僕と会わないほうがよかったのかな」や「別れ際、もっと好きになる」は、そんな事情を感じさせないパフォーマンスだった。
アンダーメンバーだけの「アンダーライブ」の開催情報も発表された。10月16日に続いて、12月17日と18日、日本武道館で2days!
おおー! マジかよ! と叫ぶ観客。ステージの上のメンバーたちは……ただただ驚いていた。中元日芽香は「目指していた場所なので嬉しいです」とコメントしたが、その声はまだまだ喜びや理解が追いついていない感じ。
お嬢様のような雰囲気を持つメンバーが多い乃木坂46。現在放送中の「初森ベアーズ」も、スポ根をテーマにしながら、女子高らしい、お嬢様らしいキャラ付けがされている。
中でもお嬢様感が強いメンバーとして名前があがるのは生田絵梨花。ピアノが弾ける帰国子女。少女漫画のヒロインみたいだ。
コンサートのクライマックスは、生田のピアノ伴奏と生オーケストラによる「何度目の青空か?」「君の名は希望」「悲しみの忘れ方」。このラインナップを立て続けにやるのは卑怯! 泣くでしょこれは。
生田も泣いていた。
「ずっと不安だった。けど、裏ではスタッフさんが励ましてくれるし、舞台にはメンバーがいてひとりじゃないと思えた。そして、ファンの皆さんが温かく包み込んでくれました」
神宮で乃木坂46は「乃木坂らしさ」を見せた。でも、メンバーにとっても、ファンにとっても、「乃木坂らしさ」はひとりずつ違う。向き合うのは終わりのない戦いだ。
ライブは恒例の「乃木坂の詩」で終わり──と思いきや、乃木坂コールが終わらず、ダブルアンコールへ突入。「ロマンスのスタート」。
乃木坂46と出会ってスタートを切った37人は、自分たちが信じる「乃木坂らしさ」を目指して戦っていく。
(青柳美帆子)
メインステージから、バックステージから、メンバーたちが現れる。それぞれがメインスクリーンに大きく映し出される。最後にスポットライトが当たるのは──生駒里奈。
花道の真ん中にひとりで立つ生駒の目は、きらきら潤んでいる。その生駒めがけて、メンバーが花道を駆けてくる。
「昨日の755、見ましたか?」
耳元で声がする。一緒に来た横の乃木坂ファン(西野七瀬推し)だ。
見た見た。13枚目のシングルで初めて3列目になった生駒は、こう言っていた。
「明日まで、センターやらせて下さい。明後日からはまた新しい場所で自分を高めていきます!」
生駒は、神宮のセンターに立っていた。
「神宮! 行けますか! 集大成、見せつけようぜー!」
乃木坂らしさってなんだろう?
今回のツアーのテーマは「乃木坂らしさ」。
ツアー千秋楽の冒頭では、キャプテン・桜井玲香の映像が流れた。
「乃木坂らしさとは何か、自分たちの理想と戦ってきた。私たちは、結成からずっといっぱいっぱいだった」
「自信がなかった。でも、今回のツアーでは、トラブルがあっても、全員でひとつひとつクリアしている。だからこそ、ここで言いたいことがある。勝ちたい。勝って今日を入り口に、グループの扉を開きたい」
彼女たちは「乃木坂らしさ」という言葉を口にする。
乃木坂らしさって、なんなんだろう?
秋元康による歌の世界
「太陽ノック」「ガールズルール」「夏のFree&Easy」とシングル表題曲で盛り上げれば、「羽根の記憶」「魚たちのLOVE SONG」でしっとりした空気になる。
「無表情(からあげ姉妹)」「ロマンティックいか焼き」はコールを入れるのが楽しい!
そしてメッセージ性や物語性が強い「命は美しい」「気づいたら片想い」……。西野七瀬のソロ曲「もう少しの夢」は、西野はもちろん、乃木坂46のメンバー全員のイメージソングみたいだ。
コンサートでは、メンバーたちが好きな歌詞をあげるコーナーもあった。強い歌詞も曲のキャッチーさも乃木坂らしさだろう。
繊細な少女たち
乃木坂46のアイドルたちは、競争するのが苦手でネガティブ。「アイドルらしくない」と言われる。それもそのはず、オーディションではアイドルらしくない子ばかりを選んだとプロデューサーが語っている。
7月に公開されたドキュメンタリー映画「悲しみの忘れ方」では、アイドルになる前の彼女たちの漠然とした居場所のなさや、アイドルになってからの不安定な居場所が描かれていた。
千秋楽のスクリーンにも、「悲しみの忘れ方」の映像が映る。映画ではあまり登場しなかった二期生やアンダーメンバーのカットも流れる。彼女たちは「不安でしょうがない」と呟きながら頑張っている。
アンダーメンバー
乃木坂46には、AKB48グループのような劇場はない。テレビやライブにたくさん出られるのは選抜メンバーだけで、選抜以外のアンダーメンバーはそうした機会が少ない状況にある。
大きな舞台で披露するアンダー曲「君は僕と会わないほうがよかったのかな」や「別れ際、もっと好きになる」は、そんな事情を感じさせないパフォーマンスだった。
アンダーメンバーだけの「アンダーライブ」の開催情報も発表された。10月16日に続いて、12月17日と18日、日本武道館で2days!
おおー! マジかよ! と叫ぶ観客。ステージの上のメンバーたちは……ただただ驚いていた。中元日芽香は「目指していた場所なので嬉しいです」とコメントしたが、その声はまだまだ喜びや理解が追いついていない感じ。
「お嬢様」の空気感
お嬢様のような雰囲気を持つメンバーが多い乃木坂46。現在放送中の「初森ベアーズ」も、スポ根をテーマにしながら、女子高らしい、お嬢様らしいキャラ付けがされている。
中でもお嬢様感が強いメンバーとして名前があがるのは生田絵梨花。ピアノが弾ける帰国子女。少女漫画のヒロインみたいだ。
コンサートのクライマックスは、生田のピアノ伴奏と生オーケストラによる「何度目の青空か?」「君の名は希望」「悲しみの忘れ方」。このラインナップを立て続けにやるのは卑怯! 泣くでしょこれは。
生田も泣いていた。
「ずっと不安だった。けど、裏ではスタッフさんが励ましてくれるし、舞台にはメンバーがいてひとりじゃないと思えた。そして、ファンの皆さんが温かく包み込んでくれました」
神宮で乃木坂46は「乃木坂らしさ」を見せた。でも、メンバーにとっても、ファンにとっても、「乃木坂らしさ」はひとりずつ違う。向き合うのは終わりのない戦いだ。
ライブは恒例の「乃木坂の詩」で終わり──と思いきや、乃木坂コールが終わらず、ダブルアンコールへ突入。「ロマンスのスタート」。
乃木坂46と出会ってスタートを切った37人は、自分たちが信じる「乃木坂らしさ」を目指して戦っていく。
(青柳美帆子)