【即日「まれ」レビュー】125話。救いは希と圭太のシーンだけ

写真拡大

エキレビ!名物、木俣冬の日刊「まれ」、いつもは翌日レビューでお楽しみいただいてますが、17日から一週間は、夏休み特別企画として「当日朝の放映分を即レビュー」するという「即日まれ」体制でお届けします。

朝ドラ「まれ」(NHK 月〜土 朝8時〜)8月21日(金)放送。第21週「復活マルジョレーヌ」第125話より。脚本:篠崎絵里子(崎の大は立) 演出:一木正恵


125話は、こんな話


2週間過ぎるとすっかりお客さんがこなくなってしまったプティット・ソルシエール。そこへ横浜から浅井(鈴木拓)がやって来る。心配した大悟(小日向文世)に送り込まれてきたのだ。そして、希(土屋太鳳)が店を続けようと腹をくくるのを見届ける。

今日の、ドランクドラゴン


浅井が能登に来たことで、ついに相方・寺岡真人役の塚地武雅と共演シーンが。
「なんかむかつく」などと、真人が珍客・浅井を妙に意識する台詞も用意されていました。直接的に会話をかわさず、あくまで真人が傍観しているふうなのがミソ。

今日の、鈴木拓


あっという間に売り上げが低迷。「自己破産」の妄想に苦しむ希。周囲からは、価格をさげたほうがいい、フランス語の商品名を変えたほうがいいなど提案され、悩んだ末、商品を変えて、値段を下げることを決意します。
ただ、ひとつだけ妥協せず、徹底的にこだわった一品をつくることに。
夜を徹してケーキを完成させたときの希の横顔カットは、背景の色味とボカし具合と相まって大変美しかったですが、引きになると、横顔の奥には寝ぼけた浅井がいたというギャップ。
浅井のおかげで、希の崇高な覚悟も、ああ、わずか15分でどん底から回復しちゃった・・・いつものこととはいえ、早っ という残念感が強調されました。

今日の、名場面


どんなに辛くても迷っても、圭太(山崎賢人)だけは味方。
余ったケーキを毎日食べる辛さも圭太だけは引き受けてくれて、毎日ケーキしか食べてない希におにぎりをつくってくれて。なんていい旦那さんなんでしょう!
キスシーン、おんぶシーンとキュンキュンシーンが満載でした。
いまだにキスに照れる希の初々しさもいい。

今日の、つっこ「まれ」


能登の自然のなか、希と圭太が戯れるシーンは、小姑ツッコミも忘れて、ひとときホッとさせられます。ふたりが、ものづくりについて語るのも、ああ、そう、こうでないと! と気持ちが高まります。
「つくりたいケーキとお客さんの食べたいケーキ」という問題に悩む希に、
「おれはもうおれや好きなもんしか作らん」と圭太が言うと、「巨匠か」「人間国宝か」と希がつっこむ。こうやって、悩みと笑いを混ぜながら、一歩一歩進んでいく姿を全編もっとじっくり見たかったです。
そこで気になるのが希のものづくりに対する考え方。

もともとお客さんが笑顔になるものを作りたいと思っていて、横浜でも、お客さんの身になって、たとえば、家族構成に合わせた飾りを乗せたケーキをつくったり、高級菓子が好きでなく素朴なものが好きな妻用の駄菓子ケーキをつくったりしていたのに、いつの間にか、大悟のへんなこだわり部分だけが身にしみ込んでしまったように描かれていることに違和感を覚えるんですよね・・・。
人間、そんなにシンプルに初心や本質だけでは生きていけなくて、いろいろ枝葉がついていくってことなのかもしれませんが。
ものすごく単純化している描写もたくさんあるわりに、主人公のブレに関してはいっさい妥協せず、これでもかと彼女の矛盾を描き続ける制作陣。主人公を単純化しない視点を最後まで貫いた結果、どんなクライマックスが待っているか、最終回まであと約一ヶ月。
(木俣冬)

エキレビ!にて月〜土まで好評連載中! 木俣冬の日刊「まれ」ビュー全話分はこちらから

いまひとつ視聴率が伸びないが、奮闘は讃えたい。NHK朝ドラ「まれ」おさらい(54話までを総括))