役者で出てる芸人さんに、お笑い監修してもらえばよかったのに「まれ」110話
朝ドラ「まれ」(NHK 月〜土 朝8時〜)8月4日(火)放送。第19週「潮時じゃがいもガレット」第110話より。脚本:篠崎絵里子(崎の大は立) 演出:渡辺一貴
元治(田中泯)が、突然、引退宣言、竈焚き小屋を希(土屋太鳳)に譲ると言いだします。塩の味が落ちたからと言うのですが、その変化に気づけるものは本人以外誰もいません。元治は希に「潮時」の意味を語ります。
冒頭、元治の引退について希たちが勝手な憶測して大騒ぎするなか、藍子(常盤貴子)と一徹(葉山奨之)だけが、まず体調を心配します。
いままでの塩の味が出せなくなったと聞いて、みんなで味比べ。
クイズミリオネラか! というようなもってまわった音楽がかかって、徹(大泉洋)、希、文(田中裕子)と元治のアップがじわじわと映り、間をたっぷりとった挙げ句、わからないと言って、みんながガク!
オープニングも含めて5分。本編の3分の1も使っています。
これを視聴者がおもしろがるとは誰も思っていないけれど、やるしかなかったのですよね、きっと・・・。
大半の視聴者はそれを求めてないと想像しますが、そんなにおもしろにしたいのなら、板尾創路、ドランクドラゴン塚地武雅、鈴木拓、星田英利、シソンヌじろうなどなどお笑い芸人をたくさん出演させているのですし、いっそお笑い監修みたいな役割をおひとりつけたらよかったのではないでしょうか。
「潮時ちゅうがはものの終わりちゅう意味じゃねえげぞ。何かをちゃするがにちょうどいい時やちゅう前向きな言葉ねん」
「駄目にせんうちに引くがも職人の仕事や」
前半がああ↑だったから、「潮時」と「塩」のダジャレなだけじゃないか、と一瞬身構えましたよ、もう。
幸い、ここは、まじでした。
元治はとことん潔いひとだし、きっと、希にも、パティシエとして、いい時期を逃すなと言いたいのではないでしょうか。
いろいろ迷ったり目移りしたりして、せっかくの才能を伸ばせない若者も多いでしょうから、そういう若者に、こんな元治さんのようなひとがいてくれたら、ほんとうにいいのに。希は幸せ者ですね。
自己破産して能登に戻ってから目も当てられないほどふさいでいる徹。畳の目を数え続ける惨めさはなかなかのものでした。息子に飛び越されるという暗喩的な表現も辛さを一層強調します。
一時、プチ徹化を心配された希は、元治などの強い味方がいてなんとかなりそうですが、彼には誰もいません。藍子だけはずっとそばにいてくれますが、それだけです。徹を甘やかすから厳しくしようとしたこともあったものの、まったく意味を成さなかったことについて責めはしません。できないものは仕方ないし、そばにいて支えてラブラブならいいでしょう。
いろんなひとに育まれ夢に近づく希と、家族や友人にあたたかく見守られながらも何もできない徹。
残り2ヶ月は、このドラマの誰よりも夢を追いかけ、夢に絶望してきた徹の描き方で、夢に対する「まれ」の答がわかる気がします。
(木俣冬)
エキレビ!にて月〜土まで好評連載中! 木俣冬の日刊「まれ」ビュー全話分はこちらから
いまひとつ視聴率が伸びないが、奮闘は讃えたい。NHK朝ドラ「まれ」おさらい(54話までを総括))
110話は、こんな話
元治(田中泯)が、突然、引退宣言、竈焚き小屋を希(土屋太鳳)に譲ると言いだします。塩の味が落ちたからと言うのですが、その変化に気づけるものは本人以外誰もいません。元治は希に「潮時」の意味を語ります。
今日の、つっこ「まれ」
冒頭、元治の引退について希たちが勝手な憶測して大騒ぎするなか、藍子(常盤貴子)と一徹(葉山奨之)だけが、まず体調を心配します。
いままでの塩の味が出せなくなったと聞いて、みんなで味比べ。
クイズミリオネラか! というようなもってまわった音楽がかかって、徹(大泉洋)、希、文(田中裕子)と元治のアップがじわじわと映り、間をたっぷりとった挙げ句、わからないと言って、みんながガク!
オープニングも含めて5分。本編の3分の1も使っています。
これを視聴者がおもしろがるとは誰も思っていないけれど、やるしかなかったのですよね、きっと・・・。
大半の視聴者はそれを求めてないと想像しますが、そんなにおもしろにしたいのなら、板尾創路、ドランクドラゴン塚地武雅、鈴木拓、星田英利、シソンヌじろうなどなどお笑い芸人をたくさん出演させているのですし、いっそお笑い監修みたいな役割をおひとりつけたらよかったのではないでしょうか。
今日の、名言
「潮時ちゅうがはものの終わりちゅう意味じゃねえげぞ。何かをちゃするがにちょうどいい時やちゅう前向きな言葉ねん」
「駄目にせんうちに引くがも職人の仕事や」
前半がああ↑だったから、「潮時」と「塩」のダジャレなだけじゃないか、と一瞬身構えましたよ、もう。
幸い、ここは、まじでした。
元治はとことん潔いひとだし、きっと、希にも、パティシエとして、いい時期を逃すなと言いたいのではないでしょうか。
いろいろ迷ったり目移りしたりして、せっかくの才能を伸ばせない若者も多いでしょうから、そういう若者に、こんな元治さんのようなひとがいてくれたら、ほんとうにいいのに。希は幸せ者ですね。
心配なのは、徹
自己破産して能登に戻ってから目も当てられないほどふさいでいる徹。畳の目を数え続ける惨めさはなかなかのものでした。息子に飛び越されるという暗喩的な表現も辛さを一層強調します。
一時、プチ徹化を心配された希は、元治などの強い味方がいてなんとかなりそうですが、彼には誰もいません。藍子だけはずっとそばにいてくれますが、それだけです。徹を甘やかすから厳しくしようとしたこともあったものの、まったく意味を成さなかったことについて責めはしません。できないものは仕方ないし、そばにいて支えてラブラブならいいでしょう。
いろんなひとに育まれ夢に近づく希と、家族や友人にあたたかく見守られながらも何もできない徹。
残り2ヶ月は、このドラマの誰よりも夢を追いかけ、夢に絶望してきた徹の描き方で、夢に対する「まれ」の答がわかる気がします。
(木俣冬)
エキレビ!にて月〜土まで好評連載中! 木俣冬の日刊「まれ」ビュー全話分はこちらから
いまひとつ視聴率が伸びないが、奮闘は讃えたい。NHK朝ドラ「まれ」おさらい(54話までを総括))