悪夢のような「六角形のエコノミークラス席」、特許認可される

写真拡大 (全13枚)

飛行機の座席数を増やしながら、乗客の肩や足のスペースも確保できるという特許を、フランスの航空機器メーカーが取得した。隣の人と向かい合わせに座る、という画期的なレイアウトだ。

「悪夢のような「六角形のエコノミークラス席」、特許認可される」の写真・リンク付きの記事はこちら

飛行機のエコノミークラスに乗ると、ひどい目に遭う。手荷物検査を受けるときや機内食を食べるときもそうだし、中央の席になったら目も当てられない。だが、状況はさらに悪くなる傾向にある。

航空各社は利益を上げるのに必死で、できるだけ多くの客を機内に詰め込もうとしている。

よくあるのは、足や肩の周りのスペースを切り詰めるといったアイデアや、1列に11もの席をつくるといった方法だ。また、複数の航空会社が、短距離のフライトで立ち乗りシートの導入を検討(日本語版記事)している。

エコノミークラスの乗客に残されたわずかな慰めは、ノイズキャンセリング・ヘッドホンをつけて、前の座席の背もたれをじっと見つめながら、ビーチや自宅、あるいは手頃な広さの独房にでもいると思い込むようにすることくらいだ。

だが、このわずかな権利も危機にさらされることになった。仏航空機器メーカーZodiac Seats France社が、新しい座席の配置の特許を取得したからだ。

特許書類を見ると、(あの忌まわしい)中央の座席がむしり取られ、後ろ向きに取り付けられている。この「六角形のエコノミークラス席」では、いままで以上に多くの乗客に周りを囲まれるだけでなく、彼らと顔が向かい合わせになる、ということだ。

この座席配置の目的は、「座席の密度を高めながら、肩や腕の周りのスペースを確保できる座席をつくり出すこと」にある。たしかに、その目的は達成しているようだ。すぐ隣の客と同じ方向を向くことがなくなるため、肩の周りのスペースは広くなるからだ。また、子どもやパートナーといっしょに飛行機に乗るなら、向かい合わせに座るのもいいかもしれない。

だが、赤の他人に取り囲まれることになれば、きっと不愉快だろう。みんなが同じ方向を向いていれば、少なくとも、周りに人はいないと思い込むことができる。だが、自分の周囲に人の顔が見えていたら、そんなことは不可能だ。

1年ほど前には、エコノミークラスに座る苦痛をごまかしてくれる仮想現実(VR)ヘルメットの特許エアバスが取得して(日本語版記事)、われわれをぞっとさせた。しかし、いまになってみるとそうしたVR技術はなかなか良いアイデアだったように思えてくる。

われわれにとって朗報なのは、この「六角形」の座席配置が特許にすぎないということだ。この座席を実現するという計画は、Zodiac社から公表されていない。実現しようとすれば、乗客がすばやく脱出できるかどうかなど、さまざまなテストに合格することが必要になるだろう。

それまでの間にお金を貯めておき、プライヴェートジェットを買うか、少なくともビジネスクラスの座席に乗れるようにしたいものだ。

※乗客数の増加や、乗り心地の改善に向けて、世界中のメーカーやデザイン会社がさまざまなアイデアを凝らしている。下記ギャラリーでは、「2階建てアームレスト」や「立ち乗りシート」など、WIRED.jpで取り上げたアーカイヴ記事を紹介。

SLIDE SHOW FULL SCREEN FULL SCREEN FULL SCREEN FULL SCREEN FULL SCREEN FULL SCREEN

2/6(関連記事)座席幅を調整できる旅客機シート「Morph」

3/6(関連記事)隣り合った座席同士の紛争をなくす「2階建てアームレスト」

4/6(関連記事)航空機内デザインの革新:乗客に1つずつモニター画面を与えるより、乗客のタブレットを設置する工夫の方が重要だ

5/6(関連記事)メルセデスが考える、これからのプライヴェートジェットと「未来の贅沢」

6/6(関連記事)窓を全面スクリーンで代替した超音速ジェット機

Prev Next PAUSE EXIT FULL SCREEN

(関連記事)飛行機の「立ち乗り」シート、エアバスが特許申請

(関連記事)座席幅を調整できる旅客機シート「Morph」

(関連記事)隣り合った座席同士の紛争をなくす「2階建てアームレスト」

(関連記事)航空機内デザインの革新:乗客に1つずつモニター画面を与えるより、乗客のタブレットを設置する工夫の方が重要だ

(関連記事)メルセデスが考える、これからのプライヴェートジェットと「未来の贅沢」

(関連記事)窓を全面スクリーンで代替した超音速ジェット機

TAG

AirplaneDesignNew IdeaSeatingWIRED US