笠田の健闘、甲子園マウンド経験者の意地

 この試合でまず讃えるべきは選手18人で戦い抜いた笠田であろう。特に2打点の5番・和田 仁(173センチ63キロ・右投右打・観音寺市立観音寺中出身)、低目への丁寧な配給を常に心がけたエース・三宅 雄飛(162センチ58キロ・右投右打・観音寺市立中部中出身)と豊田 匠(170センチ77キロ・右投右打・観音寺市立豊中中出身)をはじめとする5人の3年生選手は、最後の夏に後輩たちへ引き継ぐべきことをしっかり背中で示してくれた。

 そして昨年覇者の坂出商にも「意地」を示した男が。2番手で4回からマウンドに上がった背番号「10」の西口 ひかる(3年・投手・右投右打・180センチ75キロ・丸亀市立東中出身)である。

 昨夏の甲子園では敦賀気比(福井)相手に最速136キロをマークし、次世代の香川県を代表する投手として名乗りを上げた西口であるが、その後は状態が上がらず。6月7日(日)に松山商(愛媛)と対戦した練習試合の際も身体に力が溜まらず球速も伸び悩んでいた。

 が、この試合での西口は一味違った。5回裏にバックのミスで2点を失うと、スタイルを変化球主体に変更。ストレートの球速はほとんど120キロ台ながら、腕をしっかり振ってのスライダー・ツーシーム系の切れ味で8三振を奪い、チームを初戦突破に導いたのだ。

 現状を認識しながら、その時点での精一杯を出し切る。これは人生にも通じる成功への道筋だ。そして坂出商、上位進出への道筋も、間違いなく甲子園経験者の1人・西口 ひかるが握っている。

(文=寺下 友徳)

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