9日の東京株式市場で、日経平均<1001>は、衆院解散・総選挙という悪材料出尽くしと9月総選挙では小泉政権が勝利し、政権は続投の公算大という見方を織り込む動きが鮮明となる中で、急伸し、午後2時過ぎには一時、前日比179円高の1万1958円と再び1万2000円台をうかがう堅調な展開となった。ただ、そのあとは利食い売りでやや上げ幅を縮めた。

  日経平均の終値は、前日比121.34円(1.03%)高の1万1900.32円。東証1部の出来高は16億4802万株、金額ベースでは1兆3353億円となった。また、東証1部全銘柄の値動きを示す東証株価指数(TOPIX)の終値は、14.37ポイント(1.21%)高の1206.27だった。東証1部の値上がり銘柄数は1455、値下がり数は144、変わらずは48となり、全面高の展開となった。

  前日、日経平均は、参院本会議で郵政民営化法案の採決を控えて、一時、151円安の1万1614円まで急落する場面がみられたものの、午後1時半過ぎに採決が行われ、予想通り否決が決まると悪材料出尽くしと見て、急速に下げ幅を縮め、結局、12円高に3日ぶりに反発して引けた。「昨日のマイナスをひっくり返してプラス圏になった流れを今日は引き継いだ」と東洋証券の大塚竜太マーケット・ストラテジストは指摘する。

  また、同氏は、「特に心配されたのは外人の売りだったが、衆院解散後の日本の政局について冷静に見てくれて、売りに転じていない。参院の採決直前の5日は郵政法案の否決を予想して、先物市場に大口のヘッジ売りが入り、相場は急落(前日比116円安)したが、今日はその買い戻しが入って大幅に急伸した。市場では、メディアの報道と有権者の見方はまるっきり違うと判断している。つまり、市場も有権者と同じように小泉政権が選挙で勝つと見ている。勝って、もう一度、郵政民営化を断行するというところまで、市場は織り込んできている。そうでなければ、これほど強く相場が反発することはない」という。

  個別銘柄の動きでは、全面高の中、NY原油先物がアジア時間帯の取引でも1バレル=64.27ドルと過去最高値を更新したことを受けて、石油関連株が急騰した。アラビア石油の親会社のAOCは2.70%高の1936円、国際石油開発が5.20%高の78万9000円、帝国石油3.67%高の874円に急騰したほか、石油化学プラント関連でも、日揮が4.59%高の1434円となった。このほか、島津製作所とDNAチップ研究所が大阪大学と共同でがん診断に有効なたんぱく質を発見したと報じられ、島津は3.30%、DNAは15.83%高となった。また、抗がん剤の臨床試験を2006年から日本で実施すると発表したメディビックは10.63%高の10万4000円で引けた。【了】

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