さまざまな自動車メーカーが群雄割拠する中国からは既存の車種をそのままコピーしたようなニセモノ自動車が登場しており、世界中から非難の声が挙がっています。そんなコピー自動車のあまりのポンコツっぷりに業を煮やしたドイツ人男性が車両を破壊・爆破するパフォーマンスを行ったところ、YouTubeで大きな反響を得ることになっています。

Wir sprengen den Boss: der Shuanghuan CEO (2014)

このたび破壊・爆破の憂き目に遭ったのは、中国の自動車メーカー「双環汽車(シュアンファン・オート)」が販売しているSUVの「CEO」。



「CEO」を横から見ると、自動車好きなら「あの車にそっくり……」という思いがよぎるはず。



その答えは、ドイツの自動車メーカー・BMWのSUV「X5」。車体の基本的なシェイプからホイールアーチ、テールライトなど、細部に至るまでとても似ています。



後ろから見ると、「CEO」(左)は「X5」から迫力を取り去ったような印象を受けます。



「CEO」を開発した双環汽車は、これまでにもさまざまな車両を模倣したとして訴えられたことがある企業。2007年に「CEO」をドイツの自動車ショーに持ち込もうとした時には、本家BMWから「展示中止を」と阻止する動きが出されたことでも知られています。以下のメーカーサイトでも、なんだか見たことがあるような車両が登場しています……。

双环汽车官网-双环汽车国际互联网站

http://www.hbshauto.com/index.asp



意匠をコピーしているのみならず、その品質が低いことも明らかに。ボディにはサビが浮かび、塗装がボコボコ。



ワイパーアームも塗装がハゲハゲ。



走行距離は約10万km超えと、それなりに走っているクルマですが、この朽ち果て方はある意味で目を見張ります。



エンジンルームもなかなかのオンボロ。





怒りの表情を浮かべるオーナーのウォルフガング・ブラウベさん。自動車ジャーナリストでもあるブラウベさんは、自動車大国・ドイツで自動車に携わる一人として「CEO」が許せない様子。このムービーは、ドイツの有名な自動車専門誌「Auto Bild(アウト・ビルト)」が製作して公開したものです。



あり得ないぐらいサビてしまったブレーキ周りを見ると、その怒りも当然のように思えます。



パッドが剥離したブレーキパッドという戦慄の光景も。いくらコピー製品とは言え、これはじつにいただけない事態。



走行性能にも怒りの矛先が向けられている様子。パイロンのスラローム走行では激しく車体がロールし、ハンドルを切っても向きが変わらないアンダーステアに陥っているように見えます。



高速走行から急ブレーキをかけると……



リアが滑り出してスピン寸前に。



ハンドルを左右に激しく操作する「エルクテスト」では、うまく曲がりきれずにパイロンを踏んづけてしまう結果に。少し誇張されている様子も見えなくはないですが、その基本性能は十分感じることができそう。



チラッと見えるリアのサスペンションは、トラックなどに多く用いられるタイプと同じ構造。この構造がダメということはありませんが、少なくともBMW X5クラスの車種に使われるタイプではありません。



怒りのブラウベさんは、ここから徹底的に車両を破壊することに。まずは、エンジンオイルや冷却液を抜いてしまい、その状態で走行を開始。



2kmほど走ったところで、あえなくエンジンが死亡。



次に、消防車を横付け。



ブシャー



「CEO」をキレイにするには、すこし大がかりなのですが……



車内にも大放水。



どばどばと水を注入され、重みで沈み込む車体。



ドアを開けてジャー。やることが単純ですが、それだけに怒りを感じるというもの。



ついにオノが登場。



ボンネットにガツン



ドアの内張もばりばり剥がします。



ポンコツになった「CEO」を背に、怒りの収まらない様子のブラウベさん。



ドライバーを手に取りました。どこを分解するのかと思いきや……



ボディをドライバーでガリガリ。意外と古典的な制裁。



そしてついに、ダイナマイトのような物まで持ち出してきました……。



起爆装置に手をかけるブラウベさん。



ポチッとな。



どっかーん



別角度からもう一度。いくら何でも距離が近すぎですが、どうやら無事だったのでしょう。



へへっ



「このオンボロを葬り去ってやった」と満足げな表情のブラウベさん。イギリス・BBCの番組「トップギア」もかなりのムチャクチャっぷりを見せますが、今回はそれに匹敵、あるいは凌駕する内容と言って良さそうです。



このムービーはYouTubeの再生回数が70万回を大きく超えるという大反響を呼んでおり、さらに伸びを見せそうな状況。インパクトのある映像ではありますが、コピー製品が横行する状況に関心が集まっているのも確かと言えそうです。一部の中国メーカーからは「全ては模倣から始まるものだ」と開き直りとも取れる発言が出ていますが、せめて安全性能だけはきちんとしたものを作ってもらいたいものです。