「しっくりきていなかった」川島の今 ／ ガーナ戦
川島永嗣はどんな質問もはぐらかさない。だからストレートに聞いてみた。
――ずっと調子が悪かったように見えていたけれど、自分としてはどうでしたか？
「（今年だけではなく）去年も含めて、自分のクラブ（スタンダール・リエージュ）でもしっくりこない部分もありました。今シーズンになってクラブの状況も変わり、自分も新たなスタートを切れて、メンタル的にもコンディション的にも落ち着いてきました」
「自分でも、自分らしくないプレーが出ると思っていました。それは日本代表戦だけではなくて、クラブでもそうです。（今回は）そこを微調整してこれました」
――しっくりきていなかったのは、自分のプレースタイルが関係していますか？
「いや、それより自分に求められていた役割ですね。去年、クラブで『クロスボールはすべてGKが処理してほしい』というような要求がありました。自分の普段のスタイルとかけ離れていたことをやって、そこで調子が崩れてきたと思います」
落ち着いた川島の表情と声のトーンが、自信が回復しつつあると言っているかのようだった。そこでもう1つ、突っ込んだ質問をしてみた。
――現在の日本代表のGKはベテランが一番経験があります。本当は中堅が一番出場機会があり、ベテランが控えているのが理想で、現在の構成だとベテランは失敗できないと思うのですが。
「そうかもしれないですね。でも、このチームができたときから、僕たちの年代に課された責任だと思います。自分たちが支えていくことが、2014年以降も日本代表が発展していくために必要だと思っています。それはプレーだけではなくて」
こう語りながら川島の表情は引き締まる。最後に質問の方向を少し変えてみた。
――思えば2010年ワールドカップ直前のイングランド戦で出場し、そこから日本代表のレギュラーになりました。思えば遠くまで来ましたね。
「そうですね……でも、まだまだ先がありますから」
そう言って川島は初めて笑った。
キリンチャレンジカップ2013： 日本 3―1 ガーナ
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