舞台「誓い〜奇跡のシンガー」が公演中止に追い込まれた問題は、法廷で決着をつけることとなった。

 そもそも、問題は主演女優、土屋アンナ(29)が、製作サイドが原作者の意向を無視したとして稽古をサボったことに始まる。しかし、製作サイドは原作者の了承を得ているとして、意見は真っ向から対立していた。

 そして、ついに8月9日に、舞台制作会社「タクト」の代表で監督を務める甲斐智陽氏が会見を開き、土屋の所属事務所を提訴したことを発表した。請求した損害賠償金は3026万円だった。

 ところが、この金額をめぐり、異論が噴出している。演劇関係者がこう話す。

「3026万円のうち、利益損失分の約600万円が含まれています。しかし、舞台はこんなに儲からないですよ。商業的に成功しているのは劇団四季と宝塚ぐらいなもので、あの故・岸田今日子さんだって、持ち出しで公演をしていたし、80年代の小劇場ブームの時の第三舞台だって、利益が出ても、スタッフと役者で分けたら、1人数千円だったぐらいです。甲斐氏はちょっとふっかけすぎではないでしょうか」

 99年に甲斐氏はCD「人間は…」を発表した歌手でもある。この楽曲は自身が作詞作曲しているが、人類の平和を唱える歌詞となっているという。

 土屋とケンカ上等の姿勢を崩さない甲斐氏、歌詞に込めた理念はニセモノだったのだろうか。