「こんなお店も紹介されているのか!」など、発見が多い一冊です。

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私たち日本人が海外に行くときには、「生水を飲まないように」とか「トイレはホテルや駅以外あまりない」「トイレに紙を流してはいけない」「お皿は手に持たずに食べろ」「ぼったくりに注意」「ひったくりに注意」といったことをよく言われる。

では、逆に、外国から日本に来る人たちは、どんな注意をされるものなのだろうか。
チップの習慣がないことや、玄関で靴を脱ぐこと、箸を使って食べることなど、違いは種々あるけれど……。

ベトナムで日本語を学んだベトナム人女性に聞くと、
「日本に行くときは、失礼ないように、マナーの違いに気をつけろと言われます。たとえば、うどん食べるとき。ズルズル音させろとか」と言っていた。
だが、一般的に、外国の人からときどき聞くのは、以下のようなコメントだ。
「日本の電車はいくつかの会社があるから、切符を一度に買えなくて難しい」

そんな日本に行く際の注意として、興味深い記述が多数ある本を台湾で見つけた。2006年に刊行された『長空自遊系列001 東京食玩買終極天書』というものだ。
そこでは、たとえば、電車の注意事項として、以下のような内容がある(だいたいの日本語訳です)。
「同じプラットホームから同じところに行くとは限らないから、方向に気をつけよう」
「『各停』『快速』『急行』『特急』『特快』などがあり、気をつけないと通過してしまう」
「朝早くと晩は、駅が混んで、さらに車中はゼロ距離接触になる。晩は酔っ払いも多いから気をつけて」
また、「Suica」について「自分の名前が書かれ、使い切ったらチャージができる。理論上は別人が使うことはできない」といった注意まである。

さらに、電車に関するものだけで注意が続々……。
「日本では電車のチカン(色魔)問題が厳重。特に混雑している時間はチカンのように見られないように注意が必要」
「電車内ではケータイをマナーモード(即震機)に」「老人、妊婦、小さな子連れ、身体の不自由な人には車両ごとに優先席があって、すぐに席を譲るようになっている」
「女性専用車があり、男性は絶対に進入できない」
「日本人は冷えるのを嫌うので、弱冷房車がある」
「プラットホームには喫煙スペースがあるが、7時30分から9時30分の繁忙時間は全面禁煙」
「日本人はエスカレーターに乗るとき左に立ち、右側を歩行する人にあける」
電車・駅関連だけで、本当に多岐にわたっていて複雑! このあたりになると、「日本での注意」というよりも、自分自身が地方から上京してきたばかりの頃に混乱した「東京ローカルルール」のようなものと共通してくる。

余談だが、この本では定番スポットのほか、流行りのラーメン店などもきっちりおさえられ、マニアックな情報が網羅されているが、さらに興味深いのは、4泊5日、3泊4日などのプランで組まれた「行程範例」だ。
「東京初心者向け」コースや、下町めぐり、「買い物しまくるなら〜」として各地のアウトレットめぐり、「親子向け」としてディズニーランド、三鷹の宮崎駿博物館、サンシャインシティのナンジャタウンなどのコースがあるほか、「月島、全日秋葉原、三鷹の宮崎駿博物館、中野、上野アメ横一帯、おもちゃ屋のYamashiroya」なんてディープなコースまで提案されている。

いろいろ楽しく、複雑な東京の街。外国人でなくとも、さらに、東京の人が読んでも発見の多い本です。
(田幸和歌子)