イタリアサッカーに衝撃の賭博・八百長疑惑が浮上した。特にセリエBやレーガ・プロ(3部)の試合結果に大きく影響したと見られ、当局が捜査している。16名の逮捕者の中には、ラツィオやイタリア代表で活躍したジュゼッペ・シニョーリの名前も含まれている。

また、アタランタMFクリスティアーノ・ドーニも捜査対象となっており、セリエA昇格を果たしたアタランタ(3試合)やシエナ(1試合)の試合が、八百長疑惑の捜査対象とされている。元選手のステーファノ・ベッタリーニ氏も捜査対象となった。

捜査はまだ続いており、逮捕者が増える可能性もある。捜査の対象となっているのは18試合で、そのうちの5試合がセリエB、1試合がセリエAの試合だ。

捜査が始まったきっかけは、昨年11月に行われたクレモネーゼ(3部)の試合。一部の選手たちが飲み物を飲んで気分を害した試合で、当局は「クレモネーゼのパフォーマンスを貶めるべく、被疑者の一部が飲み物に細工をしたようだ」と明かしている。

当局は、逮捕された人物らが「犯罪組織」の構成員であり、試合を自分たちに有利に働かせることを目的に、それぞれに特別な役割と任務があったとされ、数試合の結果に影響を与えることに成功したという。

令状では、シニョーリ氏は「その著名さから、ボローニャのグループの疑いなきリーダー」だったとされており、ほかの人物らとともに「インテル対レッチェをはじめ、いくつかの試合で賭けていた」とされている。同氏はイタリア『ANSA』通信に対し、電話で「この状況でも君らに慈悲はないのか? 慈悲を持ってくれ。私には何も言えない。弁護士と会って、あとは彼が話す」とコメント。弁護士は同日、シニョーリ氏の関与を否定した。

当局は、この犯罪組織の中のグループが、セリエAの選手や幹部にも影響を及ぼそうとしたと見ている。たとえば、インテル対レッチェ戦が“標的”だったと見られるが、この試みは失敗に終わったそうだ。「目的」は、インテルを3−0で勝たせることだったそうだが、実際にはインテルは1−0で勝利している。

この試合での関与が疑われているのが、この日逮捕されたベネヴェントGKマルコ・パオローニだ。試合を不正に操作すべく、レッチェの選手たちと接触できると信じ込ませたと見られている。パオローニは1月にクレモネーゼから移籍。クレモネーゼは以前も賭博問題で名前が浮上した同選手の放出を望んでいた。現時点では、クレモネーゼの4試合、ベネヴェントの3試合が捜査対象となっている。インテル対レッチェ戦には、シニョーリ氏のほか、ベッタリーニ氏も賭けていたようだ。

セリエBでは捜査が大きな影響をもたらすかもしれない。当局は「複数のリーグでの試合結果がすでに操作された恐れがある。A昇格を果たしたアタランタとシエナが巻き込まれていることを考えるだけでも十分だ」と説明した。アタランタについては、捜査の対象にMFドーニも含まれている。ドーニには、アタランタ対ピアチェンツァ戦が3点差以上でアタランタの勝利になるよう、犯罪組織に加担した疑いが持たれている。試合は3−0でアタランタが勝利している。

現役選手では、パオローニのほか、アスコリDFヴィットーリオ・ミコルッチやMFヴィンチェンツォ・ソンメーゼが逮捕されている。ラヴェンナではスポーツディレクターが逮捕された。