クリスマスカードは被害少女の切実な手紙、英国の警察が前科者に送る。

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クリスマスの前には強盗や窃盗事件が増える英国で、ある警察署は防犯意識を高めるためにクリスマスカードを地域に配布している。また、かつてそうした事件を起こした人に対しては再び過ちを繰り返さないように、被害に遭った少女の手紙をクリスマスカードにして送付。被害者の切実な気持ちを知り、起こした事件の影響の大きさを分かってもらいたいという。

この防犯作戦を行っているのは、英国のウエストヨークシャー警察。手紙を書いたのは、家に泥棒に入られた経験がある、エイミー・ウィンタリッジちゃんという10歳の女の子だ。

今回、ウエストヨークシャー警察がエイミーちゃんの手紙を採用したのには理由がある。そもそもこの手紙は、エイミーちゃんが直接犯人に送るために書いたものではなく、事件による彼女の心理的影響を取り除くカウンセリングの一環で書かれたもの。その内容は「私は泣きました」「怖くて家に戻りたくなかったです」「寝るのが死ぬほど怖くて、お母さんに夜中まで添い寝してもらわなくてはいけません」(英スカイニュースより)など、彼女が負った心の傷が切々とつづられている。

さらに「なんでそんなバカなことを思いついたのですか?」「盗んだモノはどうしたのですか?」「他の家にも盗みに入ったのですか?」といった質問が並び、最後には自分が涙を流して動揺する姿を描いた絵が添えられている。この手紙をウエストヨークシャー警察は、エイミーちゃんの家に侵入した犯人の保護観察中に、実際に見せてみた。すると、犯人は「明らかに動揺していた」様子だったそうだ。

この姿を見た警察はクリスマス前の防犯キャンペーンのひとつとして、受け取った人が「書かれた言葉を噛みしめて欲しい」との願いを込め、強盗や窃盗の前科がある人にこの手紙を送付。メッセージは、小さなツリーの絵がたくさん描かれた鮮やかなオレンジ色のケースに入れられ、一見すると楽しい雰囲気となっている。外見との大きなギャップがより効果を生みそうだ。