アトレティコ・マドリー最初の女性ソシオ(会員)であるマリア・ルイサ・ルイス・ガルシアさんは86歳。クラブ側からパルコ席に招待すると言われてもこれを断り、今でもビセンテ・カルデロンの自分の席から声援を送り、審判の判定に野次を飛ばすのが好きな筋金入りのアトレティコファンだ。

「アトレティコは私を殺そうとするチームであり、私に人生を与えてくれたチーム。おそらく、私の健康にはよくないわ。でも、私の人生に多くのものを与えてくれたチーム。これは特別なものだし、言葉で説明するのは難しいわね」。

 アトレティコへの想いをそう語るマリア・ルイサさんは、1947年1月19日にアトレティコ初の女性ソシオとなって以来アトレティコ一筋、一度もファンを辞めようと思ったことはないという。「喜びと悲しみ」が紙一重のアトレティコの典型的なファンと言えるだろう。

 そんな彼女にとって忘れられない試合の一つは、1949-50シーズンに5-1で宿敵レアル・マドリーを下したビセンテ・カルデロンでのマドリー・ダービーだという。そして、今週末は待ちに待ったマドリー・ダービーだ。他のアトレティコファン同様に何より勝利を望むマリア・ルイサさんだが、苦しみながら勝利するという展開を望んでいるとも。

 フェルナンド・トーレスはチームを去った。しかし、マリア・ルイサさんには“クン”アグエロという新たな孫がいる。「彼がこれまでのようなレベルでプレーしてくれたら、私達が勝つと思うわ。それにレアル・マドリーはいいプレーをしていないもの」とアグエロが今回のダービーのカギを握る選手になると言う彼女。日曜日もビセンテ・カルデロンのいつもの席から選手たちに声援を送り、主審の判定に野次を飛ばしているマリア・ルイサさんの姿が見られるだろう。

(スペイン通信)