「『ミク』よりも、オタクが露出した『アッコにおまかせ!』」(TBSより)

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   TBS系バラエティ番組「アッコにおまかせ!」の2007年10月14日放送で、歌うバーチャルアイドル「初音ミク」が紹介される代わりに、「ミク」を愛好する「オタク」の「キモイ」映像ばかりが流され、「ミクのイメージが壊れた」など、ネットが騒然となっている。TBSの取材を受けた人達は「内容が事前の打ち合わせと全然違う」として憤慨し、「ミクのファンや関係者に申し訳ない」と謝罪。ネット上には「またTBSによるヲタの印象操作」などのカキコミも出ている。

「ミクが紹介されていない」「なんでヲタばかり映すんだ」

   放送されたのは、最新の流行を紹介する「ルーキーワード」コーナー。冒頭は「初音ミクって知ってる?」などアキバでの街頭インタビューがあり、メーカーのクリプトン・フューチャー・メディア(本社:札幌市)の担当者のコメント「つんく♂さんが『モーニング娘。』をプロデュースするかのように、自分の作った歌を歌わせることによってプロデュース感覚が味わえるソフトです」が映された。

   そして、いよいよ「ミク」の歌声が聴けるかと思ったら、「ミク」を愛好しているという2人の男性が登場。個人宅に置いてある総額100万円という音楽機材が映された後、「3次元の女性には興味ない」「(アニメのポスターの女性は)オレの嫁の1人(嫁の数は)100から先は覚えていない」などと発言。そして、セーラー服(実際はステージ衣装)を着てポーズ。「ミク」の歌声は数秒しか流れなかった。

   放送後、「ミクがきちんと紹介されていない」「なんでヲタばかり映すんだ」など怒りのカキコミがネットに出た。しかし、この放送を見て一番驚いたのは、「ミク」のファンよりも、出演した男性と、取材をセッティングしたクリプトン社の「ミク」開発者だったようだ。それは、「打ち合わせをした内容と全然違う」からなのだという。

セーラー服は強引に着せられた?

   番組に出演した男性の1人はtaskさん。taskさんはメンバーが7717人もいる「mixi」(ミクシィ)内の「VOCALOID2『初音ミク』」コミュの管理人でもある。taskさんは放送終了後に「2ちゃんねる」の雑談コーナー「VIP板」に「言い訳をさせて頂きたいのですが」と現れ、「ミク」のファンやクリプトン関係者に謝罪する。今回の収録時間は3時間だったが、オタク的な話題は数分しかしておらず、その数分が編集され放送された、と告白した。その証拠として、TBSの取材陣が忘れていったというテレビの台本の写真をアップ。これを見る限りだと、オタク的な内容は盛り込まれてない。そして、セーラー服に関しては、強引に着せられたようだが、最終的に断れなかった自分が悪い、と書いている。

   taskさんはJ-CASTニュースの取材に対し、

「もともとが『初音ミクを使用した楽曲の制作風景の取材』という名目でしたので、今回問題となった私自身の発言内容については、企画内容や事前の説明からしてオンエアで使われるとしても軽く受け流される程度の扱いになると思っていたので(そうでないと企画の趣旨が変わってしまいますので…)、まさかこの部分だけがこのような形でピックアップされるとは思ってもいませんでした」

とコメントした。そして、

「あらゆる可能性を考慮せず、軽率な発言をしてしまった私に一番非があることは十分承知していますが、当初受けていた説明とは明らかに異なる企画・編集内容で、その旨に関する一切連絡が無いままでの放送となったことについてはとても残念です」

と付け加えた。

「ネットで話題になっているという情報は来ていません」

   クリプトン社は07年10月15日に代表取締役の伊藤博之さんの署名入りで、「ミク」ユーザーに不快な思いをさせてしまった、というお詫びのコメントを発表した。今回のような放送で責められるのは「それ(TBS『アッコにおまかせ』の『ミク』に対する認識)を見抜けなかった弊社の側にある」としている。一方で、

「こちら側で伝えたかったコメントの代わりに、取材時に制作サイドに誘導されて発したコメントが使われる始末。また『初音ミク』の本領を発揮する歌声が殆ど紹介されないという、本当に残念な内容」

としている。「つんく♂」「モー娘。」のくだりは、イメージが固定されるのを嫌って原稿に入れなかったものだが、「言わされた」という事のようだ。今回の取材をセッティングした同社の「ミク」開発担当者は、J-CASTニュースの取材に対し、

「取材した中のどこを使わせていただくかはこちらの判断、とTBS側から言われていたが、放送されたものはこちらの想像を遥かに超えていた」

と話している。

TBSは許せません

   今回の件についてネットでは、taskさんに対し「VIP板」で、

「利用されたんだからその部分は問題意識として持てよ。ミクへのバッシングとヲタ叩きを演出したという点ではTBSもお前も同罪」
「製作現場や初音ミクを伝える、という取材に対して、そういう報道がされなかった件に関して抗議しなけりゃ」

などとカキコまれている。
   クリプトン社の謝罪に対するコメント欄には、

「TBSは許せません。是非、印象操作に負けず、DTMの素晴らしさを大衆に伝えて下さることを願っています」
「こんな形で世間に知られてしまったのは本当に残念ですが、時間をかけて理解してもらえるようになることを切に祈ります」

などという励ましのコメントが多かった。

   TBSは今回の事態をどうとらえているのか。J-CASTニュースが取材すると同社広報は、

「現時点で抗議があったとか、ネットで話題になっているという情報は広報に来ていません」

ということだった。