サンダーランドのロイ・キーン監督は、プレミアリーグで戦う選手たちの多くが、キャリアの行く末を妻や恋人に委ねているとして、その現状を嘆いた。

 今シーズンの昇格チーム、サンダーランドで指揮を執るキーンは、今夏の移籍マーケットで約3000万ポンド(約73億5000万円)を費やす大型補強を敢行。しかし、獲得リストに挙げていた数人の選手からはイングランド北東部でのプレーを拒絶され、獲得を断念している。2005-06シーズンにはプレミアリーグの最低記録である勝点15で降格しているサンダーランドだが、キーンはビッグネームの獲得が困難な理由として、選手たちの意思決定においてサッカーの優先度が低くなっていると語っている。

「ビッグスターと呼ばれる選手たちの中には、軟弱な奴も多い。妻がロンドンでショッピングできなくなるという理由で、サンダーランドへの移籍を拒む選手がいるんだ。非常に悲しい現状だよ。アーセナルやチェルシーといったクラブでプレーしたいからロンドンを選ぶというなら分かるんだ。しかし、ロンドンで生活したいがために、ロンドンのクラブを選ぶなどというのは間違いだ。数年前、私はユベントスへの移籍が寸前まで決まりかけていた。しかし、周りの人間は、住むならミラノの方が良いなどとアドバイスを送ってきたものだ。私は彼らにこう言ったんだ。『俺は買い物がしたくてイタリアに行くんじゃない。ユベントスだから行くんだ』とね。もしかすると、私がそれほど買い物好きじゃないからかもしれないが、それでもサッカー選手なら、サッカーを優先すべきだ」

 現役時代はマンチェスター・ユナイテッドで長くキャプテンを務めたキーン。気持ちを前面に押し出してチームを鼓舞するそのプレースタイルは、時折チームメイトや監督との衝突も招いた。いまでは冷静沈着な指揮として評価を高めつつあるが、その熱き思いは今でも健在。8月31日の移籍期限までに「あと2人は補強したい」と語るキーンは、そのお眼鏡に適う選手を獲得することが出来るだろうか。