4月27日に日本記者クラブで会見したハリルホジッチ監督。写真:山崎賢人(サッカーダイジェスト写真部)

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 2018年4月27日、日本代表監督を電撃的に解任されたヴァイッド・ハリルホジッチ監督が日本記者クラブで会見した。日本サッカー協会の田嶋幸三会長が4月9日に発表した「契約解除」を受け、公の場で話すのはこれが初めてのことだった。

 かつて代表監督時代に「ミーティング中に寝ている選手がいた」、「コロンビアに勝つのは幻想に近い」など衝撃の発言をしてきたハリルホジッチだが、今回の会見でも興味深いコメントを発していた。
 「自分の考えを述べたい」という会見の冒頭で「日本で3年間仕事をしてきたので、ここで話をしたい」と挨拶をした。その後、日本の国柄について少し話したハリルホジッチは「こんな形で日本を去るとは考えたことはなかった」と少しずつ本題に入っていった。

 ハリルホジッチは就任当初からどんな仕事をしてきたか──例えば「監督のオフィスをしつらえてくれ」などを語りつつ、選手やスタッフとの関係についても「問題はなかった」と言及。チームは正しい方向に進んでいたとアピールし、自分のやってきた仕事への正当性を訴えた。

 実際、ハリルホジッチの証言を鵜呑みにすれば、誰もその仕事に対して問題があったとは言ってくれなかったという。

「会長にしても、西野さんにしても、問題があるぞと言ってくれなかった。誰も何も言ってくれなかった」

 3月のベルギー遠征で当時技術委員長だった西野朗氏から「ひとりの選手が問題を抱えている」と言われたが、それも「分かっていた」し、解決策は持っていたという。

 だからこそハリルホジッチは18年4月7日にパリのホテルでいきなり田嶋会長から契約解除を告げられて驚いた。なぜ不満を漏らしている選手がいたらそれを教えてくれなかったのか、何か問題があればなぜそれを伝えてくれなかったのか、そこに怒りを抱いていた。

 そういうやり取りが実際に協会と監督との間でなされていなかったとしたら、看過できない問題だ。何も「真実が見えない」まま更迭されたというハリルホジッチ。あくまで解雇された側の主張だけで判断すれば、代表監督当時のハリルホジッチは孤立無援に近い状態だった。そんな状況だったとしたら、ワールドカップで勝てるチームなど作れるわけがないだろう。

取材・文●白鳥和洋(サッカーダイジェスト編集部)