個の力とゴール前の位置取りで非凡さを見せつけた久保。開幕スタメンに向けて大きくアピールした。写真:滝川敏之(サッカーダイジェスト写真部)

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 27日にジャカルタ(インドネシア)で行なわれたJリーグ アジアチャレンジのバヤンカラ(インドネシア)との一戦。FC東京に所属する久保建英は誰よりも輝きを放った。

 驚異の16歳に出番がやってきたのは1-2迎えた67分。富樫敬真に変わって2トップの一角に入ると、キレのある動きを連発。75分には右サイドハーフ・大森晃太郎のフィードから高萩洋次郎が頭で背後に落とすと、このボールに反応した久保は一瞬の動き出しで相手を出し抜く。これをノートラップで、ハーフボレーの形で左足を振り抜き、豪快にゴールネットを揺らした。

 この同点ゴールだけで終わらない久保は、前田遼一のゴールで逆転して迎えた終了間際。米本拓司の落としから左足で低い弾道のミドルシュートをゴール右隅に突き刺し、勝利を決定づける2ゴール目を奪ってみせた。

 圧巻の2ゴールで開幕スタメンをアピールした久保。ただ、それ以外でパフォーマンスは際立っていた。

 例えば、投入直後のプレー。ボールを受けると冷静な判断で逆サイドに局面を替え、縦に急ぎがちだったFC東京の攻撃に変化をもたらした。また、相手に囲まれながらもボールをキープして味方を使う場面や、シンプルに仲間に預けるプレー。周囲との連係も昨季と比べれば格段に向上しており、ゴール以外のところでも成長の跡を示した。

 また、ゴール前への入り方にも進化した姿を見せた。得点シーン以外でも、一瞬の動きでマークを外す場面があり、タイミングさえ合えばワンタッチでゴールという好機が何度かあった。久保は大きな期待を集めているとはいえ、まだ16歳。フィジカル的にはまだまだ成熟していない段階だ。

 しかし、フィジカルで勝負せずとも駆け引きや一瞬の動き出しでゴールを決める術を身に付けたのであれば、今季のJ1でも十分に通用する可能性を感じさせた。

 今季のFC東京はディエゴ・オリベイラを柏から獲得したが、FWの層に不安を抱えるのが現状だ。その状況を踏まえれば、プロ2年目を迎える久保にもチャンスはある。そのために必要なのはやはり得点という目に見える結果だろう。昨年11月のプロ契約会見時には「大切なのはスタートではなく、ゴールが大事だと思います」と久保が話していたように、残りのトレーニングマッチなどで結果を残せば、開幕スタメンに抜擢されても不思議ではない。

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