中野裕太 - 映画『新宿スワンII』より
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 英語、中国語、フランス語、イタリア語、スペイン語を得意とし、その頭脳と“天才”キャラを活かして教養バラエティー番組「熱血!平成教育学院」や情報番組「THEサンデーNEXT」などで活躍した中野裕太(31)。インテリタレントのイメージが強いが、最近では俳優として存在感を示し始めている。

 バラエティー番組への出演が目立った頃もコンスタントに演技の仕事をこなしていた中野だが、ここ数年は俳優活動が活発だ。2015年、『もうしません!』で映画初主演、昨年は「脚本家と女刑事」で連続ドラマ初主演を遂げるなど、着実に俳優業を進む。魅力は何と言っても、その独特の雰囲気だ。身にまとうどこかアンニュイな空気は決して正統派ではないが、見るものを惹きつける。

 21日公開の映画『新宿スワンII』では、主演の綾野剛演じる新宿のスカウトマン・龍彦たちと敵対することになる横浜ウィザードの“ハネマン”役を務めた。ハネマンは浅野忠信ふんするウィザードの社長・滝の右腕的存在という、メインではないものの重要な役どころ。凶暴だが滝への忠誠心が強く、滝の力があるからこその余裕っぷりがハネマンの特徴だ。

 役者として演技をする中野を本作で見るという観客にとっては、劇中の彼とかつてクイズ番組などで見た中野の人物像とが、すぐには一致しないかもしれない。それほどに、役になりきってみせている。綿密な役づくりがあってのものだとは思うものの、内側からにじみ出るようなキャラクター性があるように感じてならない。同作には綾野、浅野をはじめ、伊勢谷友介、深水元基、村上淳、椎名桔平ら印象的な演技をする実力派がそろうが、その中でイヤミなく中野の存在がアピールされているのには驚かされる。

 『新宿スワン』というと、激しいアクションも見どころ。本作でも物語がスカウト会社同士の全面戦争へと向かっていく上で、もちろん迫力のバトルシーンが繰り広げられる。中野演じるハネマンは派手に暴れるというよりも、“遊び”があるように見え、ガムシャラな龍彦との対比もおもしろい。

 今年は、俳優として個性を見せる中野のますますの飛躍に期待したい。(編集部・小山美咲)

映画『新宿スワンII』は1月21日公開