「トランプ」で当面はドル高圧力か? 外為オンライン佐藤正和氏
―-欧州でも12月はいろいろなイベントがありそうですが、トランプの影響は?
欧州では、12月4日にイタリアの国民投票がありました。イタリアのレンツィ首相が提案する憲法改正案は、これまで決められない政治の原因とされていた2院制を実質的な1院制に移行させようとするものでしたが、反対多数で否決されました。
国民投票の結果を受けて、レンツィ首相は退陣の意向を示しており、イタリアの政局は不安定になることが予想されています。モンテ・ディ・パスキ・ディ・シエナのような経営不振に陥っている国内銀行を救済するための資本増強などが遅れるかもしれません。
――11月末のOPEC総会で減産合意が成立しましたが、豪ドル円の予想レンジは?
11月30日のOPEC(石油輸出国機構)総会で、8年ぶりとなる減産合意が成立し、OPEC非加盟国のロシアなども同調すると見られています。今後は、徐々に原油価格などの資源価格が上昇していく可能性があります。
資源価格の動向に大きく左右されるオーストラリア経済は、OPEC総会の決定によって上向くことが予想されており、豪ドルは今後上昇傾向に向くと思われています。12月の予想レンジとしては、豪ドル円で1豪ドル=80円-85円と見ています。
――トランプ政権誕生前の12月、どんな点に注意すればいいでしょうか?
トランプ氏は、就任と同時にTPP脱退など様々な改革を実施すると宣言しています。大型減税や財政出動はドル高になりますが、逆に保護貿易に動くとドルが売られます。そういう意味では、トランプ政権は当面ボラティリティの大きな相場が続くと予想されます。
そう遠くないうちに「黒田ライン」と言われた1ドル=125円86銭を突破する日が来るかもしれませんし、また急激な円高も想定しておく必要があります。大きな変動幅に対応できるように緊張感をもってトレードすることが大切になります。(文責:モーニングスター)。