ハリルホジッチ「なぜこの選手を選んでしまったのか」

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▽日本代表は1日、埼玉スタジアム2002でロシア・ワールドカップ(W杯)アジア最終予選の初戦に臨み、UAE代表に1-2で敗れた。日本代表を率いるヴァイッド・ハリルホジッチ監督の試合後の会見でのコメントは以下のとおり。

ハリルホジッチ(日本)

「本当に心の底からガッカリしている。この結果で我々の実力が示された。これを受け入れるしかない。このチームは期待されていたと思う。トレーニングを積んで準備もしたが、期待したとおりのプレーができなかった。ボールをより早く動かしてほしいと要求したが、残念ながらできなかった。我々が望んだプレーを実行できなかった。相手の方がリアリストだった」

――ボールを早く動かせなかった要因は?

「疲労も考えられる。何人かの選手はプレーを実行するだけのフィジカルコンディションになく、何人かの選手はほとんどプレーできなかった。なぜこの選手を選んでしまったのか、自分でも疑問に思っている。しかし、他に良い選手がいなかったのが理由だ。責任はすべて代表監督にある。相手の方が動きが良かった。彼らの方がしっかりオーガナイズされていた。2、3人のハイレベルな選手をそろえている。素晴らしい選手たちだったと改めて思う。フィジカルのレベルで言うと、我々にとってはこの試合は少し早すぎた。何人かの選手はこの試合で失敗してしまったかもしれない。恥ずかしさを出してしまったかもしれない。勇気、勇敢さが少し足りなかった」

――左サイドで清武を起用した理由は?

「FWとしてのプレーを求めたが、背中を向けてしまっていた。清武は火曜日に日本に到着した。50分から60分が限度だと予想していた。宇佐美も考えたが、彼もクラブで長い時間、プレーしていない。武藤も考えたが、武藤も向こうではほとんど試合に出ていない。原口は中盤で考えていた。できることはやったと思う。清武にはプレースピード、背後、ダイアゴナルランを要求したが、少し背中を向けてプレーしてしまった。プレースピードが遅かったせいで香川を見つけることができなかった。DFからのパス回しも遅く、相手に読まれるようなパスもしてしまった。2回、3回とダイレクトでパスをつなぐこともできなかった。そういうプレーが続かないと、良いプレーはできない」

「それでも幾度かチャンスをつくった。2点目は入っていたのではないか。しかし、受け入れられなかった。ラインをしっかり越えたように見えたが……。私はだれが笛を吹くのか知りたいと常に要求していた。しかし、我々の関係者はだれも直前までだれが笛を吹くか把握していない体たらくだった。しっかり前もって知っていてほしかった。我々はしっかり点を取った。しかし、受け入れられなかった。彼らはPKを吹いてもらって、我々も吹いてもらえる状態ではあったが、あのようなジャッジで残念だ。普通はラインを越えたらゴールだと思う。それは審判に聞いてみてほしい」

――大島への評価は?

「もう少し期待していたが、ケガをした(柏木)陽介と競争している中で、若い選手(の起用)を決断した。ただ、こういう試合で恥ずかしさを見せるところがあった。それはチョイスした私の責任だ。スピードアップのところ、前へのパスでもう少し期待していた。ただ、彼もできる限りのことはやってくれたと思う。国内組の大部分が、フィジカル的な準備がまだまだ十分ではない。リズムの変化、スピードアップのところもそう。要するに彼(大島)は日本のフットボールのイメージを体現している。まだまだ伸ばすべきところがあるが、彼に対してはまだまだ楽観的だ。彼も伸びるし、我々も伸びる」

「まだ9試合残っている。次の試合に集中したい。確かに1試合目は必ず勝たないといけなかった。先制して、試合をコントロールしていたが、みなさんが見たとおりの結果になった。最後の30mでファウルをもらえなかった。相手はFKとPKで点を取った。こういう状況は初めてではない。このような試合をしたときは監督を批判してほしい。選手はしっかり守りたい。これが結果。私のチョイスが悪かった。彼らはできる限りのことをやってくれた」

――チームを活性化させるための対策は? 新しい選手をチームに入れる考えは

「パフォーマンスを上げるアイデアはいろいろある。2か月間、準備期間をいただけるならパフォーマンスは全然違ったと思う。(自分たちの)どこに弱点があるかも分かっている。しかし、我々にトレーニング期間を長くする可能性はない。この時期はすべての選手がトップパファーマンスではない。選手のチョイスも難しい。すべてのポジションでもっと良い競争があればうれしい。この結果はひどいものだとしても、もっともっと良くなる期待をしている。大部分の選手がもっとフィジカルコンディションを上げないといけない。批判は受け止めないといけない。そしてトレーニングを続けないといけない。まだ最後ではない」

――UAEは長い期間準備して、日本は全員がそろったのが2日前。戦術面だけでなく、チームのまとまりにも影響があったか

「この1試合のために10数試合、分析してきた。(UAEは)95%、同じ選手で試合をしている。UAEのすべてのディテールを把握して臨んだ。数年間、ほぼ同じメンバーで試合をしている。2日間だけのグラウンドでのトレーニングだったが、選手は欧州から来るわけで疲労回復もしないといけない。若い選手でも夜のミーティングの間に寝てしまうという状況だった。どのようなフットボールを実行しないといけないか。より組織的に、もっとプレースピードを上げれば、相手にとっては困難な状況になる」

「守備面でも能力の限界を見せた。最後の30mのところでFKは与えるなと厳重に言ったが、特に2失点目のPKの場面は3対1の状況でボールを奪いに行った。3対1であのボールを外に出せないのが我々の実力だ。私はこれまでデュエル、デュエルとずっと言ってきたが、みなさんもその意味がよく分かったと思う。何人かの選手はフィジカル的に限界が来ていた。ただ、私がチョイスしたので、批判は私にしてほしい」

「レフェリーを含め、言い訳は探さない。選手が少しナイーブだったのかなと思う。国内でこのようなジャッジを受けた。アウェイに行くと、より心配になる。UAEには勝つ資格があった。より経験があり、よりずる賢かった。我々より10倍もケガのふりをした。これもフットボールだ。我々にはそれがない。我々は少しナイーブなところを見せてしまった。今夜の日本代表は真の姿ではない。次の試合では、少なくともフィジカル的には良い状態にしたい。攻撃も守備も何度か素晴らしい試合をした。ただ、いくつか修正しないといけない」

――次のタイ戦に向けて何か変えないといけないところは

「今夜は厳しい結果が出たが、いろんなポジティブな面も出た。試合前にトップのゲームはできない想定をしていた。2試合目に向けてはもう少し疲労回復が進むと思う。プレースピードをもっと上げてくれる期待もしている。2試合目は守備のところでファウルをしないように注意しないといけない。例えば、大島は我々と初めて試合をした。彼を非難できない。私がチョイスした。彼を勇気づけることが必要だ。選手を選ぶのは簡単ではない。分母が広がっていないからだ。いくつかの点は修正しないといけないが、希望はキープしたい。より良い試合ができると信じている。より強い気持ちで、まずは疲労回復して、勝利を探しに行くだけだ。希望は失っていない」