【米国はこう見ている】岩隈久志のフォーシームはメジャートップ? 米メディアが新スタッツで検証

写真拡大

No.1は人類最速剛腕チャップマン、呉昇桓は6位にランクイン!

 カーショーのカーブはすごい。シンダーガードのフォーシームは打てない。ダルビッシュのスライダーは魔球だ…。それぞれの投手が持つ決め球には、いろいろな形で評価されるが、その大半は“主観的”な評価だ。打者が打席で感じたこと、評論家がこれまで見た同様の球と比べてみた評価、ファンが見た感想などが中心で、客観的なデータとして使えるのは球速、被打率が主だろう。そこで、米データサイト「Fangraphs」では、各投手のそれぞれの持ち球がどれほどすごいのかをデータで示す方法を模索。特集記事内で、新スタッツxOBA(expected on base percentage:期待される出塁率)を用いて分析した結果を紹介している。

 昨年からMLBでは「スタッツキャスト」のデータを一般公開し、打球の初速や飛び出し角度、球の回転数などが分かるようになった。記事では、こういったデータを駆使して、インプレーになった打球がヒットになる確率(xBABIP)や、特定の球種で打者が出塁する確率(xOBA)などを算出。今回はメジャー30球団の全投手の各持ち球に対するxOBAを使ってデータを整理し、「フォーシーム」「カーブ」「チェンジアップ」の3球種について、xOBAの低い順にランク付けしている。xOBAが低いということは、打者が出塁する可能性が低いということ。つまり、どれだけ打者を圧倒できるかを数値で表現できるというわけだ。

No.1チェンジアップはストラスバーグ、No.1カーブはカーショー

 メジャーで一番効果的なフォーシームを投げるのは誰か? No.1に輝いたのは、想像通り、カブスのアロルディス・チャップマンだ。人類最速171キロを計測したことのある剛腕のフォーシームは、平均164キロを計測するほど。xOBAは.214と極めて低い。実は、このチャップマンと同じxOBA値を示しているのが、岩隈久志だ。チャップマンほど球速は出ないが、得意のスプリットやスライダーに織り交ぜながら、高めのフォーシームで空振りを奪うシーンはおなじみ。とはいうものの、記事では「岩隈がラインインするとは思わなかった」と素直な感想が添えられている。

 チャップマンと岩隈の他には、ドジャースに移籍したばかりのリッチ・ヒル、イチローの同僚のデービッド・フェルプス(マーリンズ)らに続き、カージナルスの新守護神・呉昇桓も6位にランクインしていた。

 その他の球種を見ると、「チェンジアップ」の1位はスティーブン・ストラスバーグ(ナショナルズ)でxOBAは.139、「カーブ」の1位はクレイトン・カーショー(ドジャース)でxOBAは.103という数値で、この2人のそれぞれの球が決め球として持つ威力が分かるだろう。

 シーズン当初こそ調子が上がらなかったが、6月以降は12試合に投げて9勝3敗と大きく勝ち越している岩隈。チャップマンと並ぶメジャートップのフォーシームを武器に、白星を積み重ねていきたい。