二日酔い解消法を医学的に分析「汗をかいても改善はしない」
飲み過ぎてしまい、辛い二日酔いを経験したことがある人は多いはず。巷で噂される二日酔いの改善法は数あれど、二日酔いを解消するにはどうすればいいのか。医学博士の、川上智史氏に話を聞いた。
まずは、なぜお酒を飲み過ぎると二日酔いになるのか。
「二日酔いというと、一般的に体内に残ったアルコールが引き起こすと思われているかもしれません。しかし、二日酔いはアルコールを分解した際にできる“アセトアルデヒド”という物質によって引き起こされます。このアセトアルデヒドは毒性が強いため、危険信号として頭痛や吐き気といった形でシグナルを出しているのです」
さらに二日酔いには、アレルギーも関係しているという。
「高いお酒はあまり二日酔いしないという経験をしたことはありませんか? 安いお酒は、美味しくするために様々な化学物質を添加しています。それらが肝臓へ到達すると、処理に追われてアレルギーを引き起こしてしまうことがあるのです。いずれにせよ、自分のアルコール適正量を把握しておくことが、二日酔いを予防する最善策であると言えるでしょう」
とはいえ、ついつい飲み過ぎてしまうことも少なくない。二日酔いに効果的な改善法はあるのだろうか。効果的と噂される方法の真偽を聞いた。
尿として排泄:○
「二日酔いの原因であるアセトアルデヒドは、早く生体外へ排出しなくてはなりません。そこで効果的なのが尿として排泄すること。尿の元は血液です。血液をろ過して尿をつくりだすわけですから、尿を多く出すことは二日酔いの原因を元から断つということになるので、有効的な手段といえるでしょう」
コーヒーを飲む:○
「コーヒーに限らず、紅茶などのカフェインを含む飲み物は、血管を収縮させる作用があります。そのため、二日酔いの不快な症状である頭痛を抑えてくれます。また、カフェインには利尿作用もあるので、アセトアルデヒドを速やかに排出するためには理にかなっているといえるかもしれません。ただ、コーヒーは刺激物。二日酔いの際は胃が敏感になっていますから、吐き気の症状がある場合は無理して飲むことは避けましょう」
大量に水を飲む:△
「大量に水を飲むことは、尿の排泄を促進するので非常にいいことです。脱水症状を起こすのを予防するためにも重要ですが、気をつけなければならないのが、冷たい水は避けたほうがいいということ。二日酔いの時は胃が荒れている可能性が考えられるので、冷たい水は刺激物となり胃に負担をかけます。常温またはぬるま湯を多く摂取するのが効果的ですね。ただし、アルコールにより奪われた糖分やナトリウムなどの栄養素を補給する意味でも、スポーツドリンクを飲むほうがいいでしょう」
耐えて横になる…△
「二日酔いの際に耐えて寝ることは、ある意味安静にするということですから、改善法の一つとしてはいいことであると考えられます。しかし、吐き気や頭痛を我慢し、眠れないのにひたすら横になって耐えることはストレスになり、余計に症状が悪化する可能性もあります。寝るということは、体の状態を元に戻すということに繋がりますので、よく水を飲み、尿を出してから寝ることができればよいでしょう」
ラーメンを食べる:△
「二日酔いでなくても、お酒を飲んだ後はラーメンが食べたくなる方は多いでしょう。これは、体内でナトリウムが不足してしまっているために、それを補おうとして塩分濃度の高いラーメンを求めるのです。しかし、ラーメンを食べると胃に負担がかかってしまうので、あまりおすすめはできません。どうしても食べたいときはよく噛んで、ゆっくり食べるように心がけましょう」
自慰行為で排出:△
「巷では自慰行為で二日酔いの症状が軽減されると噂されているようですが、二日酔いがひどい時には体が休むように指令を出しているので、自慰行為をする気にもなれないでしょう。しかし、軽い二日酔い程度であれば、自慰行為をすることでドーパミンなどの快楽物質が分泌され、多少は二日酔いの症状が抑えられるということも考えられなくはありません」
汗をかく:×
「運動したりお風呂に浸かり、汗をかくと気持ち的にすっきりした気分になる方も多くいらっしゃるようですが、汗からアセトアルデヒドは出てきません。むしろ、汗を書くことで体内の水分量が低下し、血液濃度が高くなることで、かえって尿が作られにくい状態になります。すなわち、心臓に負担がかかってしまいますので、おすすめはできません。汗をかくことで、血液中のアセトアルデヒドの排泄時間が遅くなるというデータもありますので、注意が必要といえるでしょう」
とにかく吐く:×
「二日酔いになると胃炎を起こしているケースもあるため、吐き気を覚える方も多いでしょう。吐くことですっきりするのは確かですが、二日酔いの改善法としては適していません。元々、吐くということは生きる上でイレギュラーな出来事。胃酸が逆流しますので、食道に炎症を起こしたり、口内に不快感をもたらします。さらに、二日酔いが出ている時点ですでにアルコールは体内に吸収されていますので、吐いたところで改善にはなりません」
迎え酒:×
「二日酔いには迎え酒、これは一番やってはいけない対処法です。アルコールを摂取すると、体は高揚感に包まれるため、たしかに一時的に二日酔いの症状を軽減する可能性はあります。しかし、さらにアルコールを摂取してしまっているので、そのアルコールから二日酔いが生じることも。これを繰り返していると、お酒がなくてはならないと体が認識するため、アルコール中毒へと発展する危険性も出てきます」
いかがだろうか。当然ではあるが、辛い二日酔いを解消するには正しい対処法が必要なのだ。
(取材・文/DMMニュース編集部)