パイオニア初のヘッドホンアンプ内蔵 USB-DAC U-05 発表、デュアル8ch DAC をパラレル駆動し S/N比向上

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パイオニアが、同社初のヘッドホンアンプ内蔵 USB-DAC 製品 U-05 を発表しました。8ch DAC チップを2基搭載するデュアル DAC 仕様で、ディスクリートのバランス出力対応アンプ回路を搭載。パイオニアいわく「もっといい音を求めるユーザーに向けた製品」です。
 

 U-05 の最も大きな特徴はやはり DAC チップ。最大 384kHz/32bit のPCM、または DSD 5.6MHz までのネイティブ再生に対応する高級 DAC、ES9018 を採用します。
 

 
ES9018 といえば最近は 2M 版と呼ばれるほうをよく見かけますが、これは主にモバイル機器向けの 2ch 仕様のもの。U-05 が搭載する ES9018 は 8ch 出力を持つオリジナル版で、U-05 ではこれをステレオのL/R各チャンネルに1基ずつ搭載しデュアル DAC 構成を採用しています。

DACは、複数 ch を束ねてパラレル駆動することで信号レベルを上げることができます。U-05 では DAC あたり8ch をすべて1本に束ねて使っており、信号レベルは8倍になります。また、DAC の特性からノイズ出力は 8倍(約2.8倍)となることから、S/N 比が通常よりも向上します。

DAC 以外にも、パイオニアはさらに音質を追求するユーザーのため「LOCK RANGE ADJUST」と称する機能を用意しました。デジタル接続では、入力されるデジタル信号に同期するために、信号を捉えられるよう一定の許容幅(ロックレンジ)を用意しています。しかしその幅が広いと、逆にジッターの原因にもなります。LOCK RANGE ADJUST は、このロックレンジを狭めることでジッター低減を狙った調整方法です。

具体的には、音楽を聴きながらロックレンジを1段階ずつ狭め、信号の同期が外れて音が鳴らなくなったら、その手前の段階をもっともジッターの少ないロックレンジとします。

なお、LOCK RANGE ADJUST は通常モードでは4段階で調整しますが、上級者向けとしてさらに細かい7段階調整モードも用意しています。

そのほかの高音質化機能としては、CD 音質の音源を DAC 側で最大 384kHz/32bitまでアップサンプリングするオーディオスケーラー機能、3つの音質プリセットを持つデジタルフィルター機能などを搭載します。

DAC から出力端子までのアナログアンプ部は、ノイズの影響が少ないディスクリートのフルバランス回路で構成しています。ヘッドホンへは XLR3 および XLR4 のバランス出力端子を備えるほか、アンバランスの標準プラグも搭載します。また、高感度なヘッドホンを使う場合のため、メインボリュームの脇には音量微調整用の「FINE ADJUST」ツマミを用意しています。
 

 
PC との USB 接続では PC 側からのジッターを抑えるアシンクロナス伝送に対応しますが、Windows では ASIO ドライバーが必要。Mac は DSD 再生のみ専用ドライバーの追加が必要です。対応する OS は、WIndwos XP 以降、および OS X 10.7以降。

入力端子は USB、同軸デジタル x2、光デジタル x2、AES /EBU 対応デジタル入力(XLR3)を装備。アナログ出力は背面に RCAピンのアナログライン出力 x1 系統、バランス出力(XLR3) x1 系統、前面にはアンバランス出力(標準プラグ)、バランス出力(XLR3) x1系統、バランス出力(XLR4) x1 系統を備えます。
 

 
出力は標準プラグが 180mW x1(32Ω)、アンバランスは 300mW x2(32Ω)。対応するヘッドホンのインピーダンスは16〜600Ω。周波数特性は 4Hz〜80kHz。全高調波歪率はアンバランス出力で0.01%、バランス出力では0.004 %。S/N 比はアンバランス出力が106dB、バランス出力が113dB。

消費電力は35W。サイズの大きなトランスを使用し、デジタルとアナログを分離した構成にするなど、電源にも音質向上の工夫をしています。

筐体はフルアルミボディ。サイズは幅296 x 高さ101 x 奥行き271mm。重さは6.3kg。

発売時期は7月下旬。価格は税別10万5000円。