年齢的にも脂がのる27歳、こういう選手こそチームの軸に必要であるはずだが、今季始動後に加入(発表は4月1日付)、出遅れたなかで得点を重ねて「充実した。よくやったと思います」と手応えを感じているだけに、残留の可能性が少なくなってしまうことは否めない。
「準加盟していないがJをめざすチーム」の弱点とも言える。非準加盟チームは、Jや準加盟のチームからすれば、選手の養成所ともなりうるのだ。

プロとしての契約動向は、時としてチームの一体感を阻害する。そうした事態とはほぼ無縁、まとまりがよい横河武蔵野FCでも、上昇志向のある選手は他クラブへ移籍していくが、それ以外の理由でクラブを去らなければならない選手がいる。

この日、最終戦のセレモニー中、サプライズでニ選手の退団式がおこなわれた。野木健司と長沼圭一。野木は平静を保っていたが、長沼は涙をこらえきれなかった。
「走れなくなるまで、大好きなサッカーを、大好きなチームでやりたいと思っていました」
しかし体力が漲っているにもかかわらず、新たな目標に向かうにはいま引退すべきだと決断したという。
仕事をしながら純粋にサッカーに打ち込めるのがアマチュアのいいところだが、長沼のようなケースに当たると、プロのほうが踏ん切りがつきやすいのではと思うこともある。
武蔵野のキャプテンを務める瀬田達弘は、仕事の都合で地方出張が多く、練習に参加できないことが多かった。来季もプレーをつづけられるか、まだわからない。

こうした光景がJ2に次ぐ競技力を持つという一点に於いて共存、混在するのがJFLの魅力かもしれない。けれども、J2をめざすものの準加盟できていないグレーゾーンのクラブチームの増加、企業チームの減少を考えると、JFLは次のあり方を模索するべき時期に来ているのではないかとも思える。
往く人と残る人、東京ニ景。考えさせられる最終節だった。

■著者プロフィール
【後藤勝】
東京都出身。ゲーム雑誌、サブカル雑誌への執筆を経て、2001年ごろからサッカーを中心に活動。FC東京関連や、昭和期のサッカー関係者へのインタビュー、JFLや地域リーグなど下位ディビジョンの取材に定評がある。著書に「トーキョーワッショイ」(双葉社)がある。
2011年3月、FC東京の取材に特化した有料メールマガジン「トーキョーワッショイ!MM」を創刊した。

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