将棋の第74期王座戦挑戦者決定戦が8月5日、東京・千駄ケ谷の「将棋会館」で行われ、先手の広瀬章人九段(39)が藤井聡太竜王・名人(王位、棋聖、棋王、王将、24)を破り、挑戦権を獲得した。昨年失った王座の奪還を目指した藤井竜王・名人だったが、リベンジマッチまであと一歩のところで無念の逆転負け。盤上でのすさまじい応酬の末、終盤に見せた藤井竜王・名人の感情をあらわにした姿が、大きな反響を呼んだ。

【映像】悔しさが伝わる…何度も深いため息をつく藤井六冠(実際の映像)

 注目の頂上決戦は、相掛かりの出だしとなり、序盤早々に互いに大駒を持ち合う力将棋となった。中盤以降、徐々に模様を良くした藤井竜王・名人が猛攻を仕掛け、盤上の優位に。そのまま藤井竜王・名人が押し切るかと思われたが、両者のすさまじい応酬が続く中、最終盤で劇的なドラマが待っていた。

 広瀬玉に長手数の詰みが生じていたものの、時間切迫の極限状態の中、藤井竜王・名人がこれを発見できず詰みを逃してしまう。この一瞬の隙を逃さなかった広瀬九段が、最後は冷静に寄せきって大逆転勝ちを収めた。

 勝負を分けた直後、自身のミスに気づいた藤井竜王・名人は、自身の太ももを激しく殴打。普段は冷静沈着な姿を崩さない藤井竜王・名人だが、この時ばかりは何度も深いため息をつき、広瀬九段を前にしてもガックリと頭を垂れて悔しさを隠そうとはしなかった。通算勝率は8割を超え、「終盤の鬼」とも称される将棋界トップの読みの力を誇る絶対王者が見せた、あまりにも珍しい感情の露出だった。

 この衝撃的な結末と藤井竜王・名人の姿に、ABEMAの中継を見守っていた視聴者からもコメントが殺到した。「ため息でかい」「すごいため息」と対局室の様子に驚く声や、「久しぶりに見たガックし」「怒ってるねえ聡ちゃん」「やさぐれてる」といった珍しいリアクションに対する反響が続出。同時に、「詰み逃したのは悔しいわな」「人間らしくていいやん」など、計り知れない悔しさに寄り添い、完璧な王者が時折見せる素顔を温かく見守る声も多数寄せられていた。

 あと一歩で「王座奪還」への切符を逃した藤井竜王・名人。一方、大激闘を制した広瀬九段は、2022年度の第35期竜王戦七番勝負以来、約4年ぶりのタイトル挑戦にして自身初の王座挑戦を決めた。初の王座防衛がかかる伊藤匠王座(叡王、23)との五番勝負第1局は、9月2日に神奈川県秦野市の「元湯陣屋」で開幕する。
ABEMA将棋チャンネルより)