ジュエリーブランドが スポーツ に本格参入 スター選手からWAGsまで、売上に大きく貢献

記事のポイント ジュエリーブランドが女子スポーツやNILアスリートとの提携を強化し新市場を開拓している。 メジュリはウィンブルドンや全米オープンでの施策で売上増や新規顧客獲得を実現した。 テニスや野球は試合中でもジュエリー着用が可能で、伝統や文化的背景と結びついている。
ジュエリーブランドはスポーツに全力を注いでいる。
南カリフォルニアを拠点とするゴルジャナ(Gorjana)は、女子スポーツ選手との一連のパートナーシップを締結した。そのなかには、2025年ネイスミス女子カレッジ最優秀ディフェンシブ選手に選ばれたカレッジバスケットボール選手のローレン・ベッツも含まれる。
長年にわたりファッション業界はスポーツとの融合を進めてきたが、ジュエリーはこの領域に比較的新参である。スポーツの激しさやパフォーマンスと、高級ジュエリーの贅沢さとの対比は一見不釣り合いに見える。しかし、スポーツとカルチャーの境界がますます曖昧になるなかで、ジュエリーブランドにとってスポーツやNILアスリートの巨大な観客層は無視できない存在になっている。
メジュリのスポーツ戦略と成果
メジュリにとって、スポーツ領域への進出はすでに成果を上げている。同ブランドは今年、6月末から7月中旬にかけてウィンブルドンで展開を行った。ブランドアンバサダーでテニス選手のエマ・ナバロを起用した2日間のポップアップイベントを実施し、売上は172%増、来場者数は181%増、新規顧客獲得率は63%を記録した。8月21日には全米オープンに合わせ、ニューヨーク市で新たなポップアップを開始する予定であり、ロサンゼルスのファッションブランドのメイドサム(Madesome)と提携したテニスをテーマにしたコレクションを展開する。
「女性であることとアスリートであることは相反するものではなく、刺激的で力強い形で共存する」と、メジュリのチーフブランドオフィサーであるジェイコブ・ジョーダンは語った。「ジュエリーはこの二面性を補完し、個性を祝福し、女性性を受け入れ、自信を表現する手段となる。最高レベルのパフォーマンスを発揮している最中であってもそれは可能である」。
メジュリは今後も2026年までメジュリ・プレイを通じてスポーツをテーマにしたコラボレーションを拡大する計画である。
一方、「一部のスポーツはほかよりもジュエリーとのコラボレーションに適している」と、自身の名を冠したブランドを持つジュエリーデザイナーのマルシラ・ベイリー氏は語る。「スポーツは長らく個人のスタイルを表現する場であり、ジュエリーはその自然な延長線上にある」。
また、「NBAやNFLの選手は何十年にもわたり高級ジュエリーを身につけてきたが、それを披露できるのはトンネルウォークや試合前後のインタビューであって、実際の試合中では通常難しかった。例外的にピアスを着ける程度だった。しかしメジャーリーグベースボールやテニスの選手は、試合中でもジュエリーを着けることができ、実際にそうしている」と、同氏はGlossyに語った。
テニスを巡るブランドの動き
最近では、ヴァンクリーフ&アーペル(Van Cleef & Arpels)のアルハンブラ(Alhambra)ネックレスが野球場で頻繁に目にされるようになり、ミゲル・ロハスやジュニア・カミネロといった選手が試合中に着用している。テニス選手のジャスミン・パオリーニも今夏、同じネックレスをコートで身につけていた。さらにダイヤモンドのネックレス、ブレスレット、イヤリングはトップレベルのテニス競技では一般的に見られる。
「野球選手は長らくジュエリーをお守りとして身につけてきたため、幸運を象徴するアルハンブラのクローバーを導入することは自然である」と、ザ・クリア・カット(The Clear Cut)の創業者オリビア・ランドーは述べた。「テニスにおいては、テニスブレスレットが何十年にもわたって競技の歴史と直接結びついている。この伝統に寄り添うことで、ファッション的な押し付けではなくブランドが信頼を得ることができる」。
こうした理由から、ジュエリーブランドはテニスに注目している。全米オープンに合わせ、テニスマガジンのラケット(Racquet)は3週間のポップアップを開催し、ウォッチ&ジュエリーブランドのザ・1916カンパニー(The 1916 Company)が新コレクション「エーシズ・バイ・パウラ・バドサ(Aces by Paula Badosa)」を発表する。スペイン人テニス選手のパウラ・バドサがデザインテーマとなっているコレクションである。
ラケット共同創業者のケイトリン・トンプソン氏は、特に女子スポーツに魅力を見出すブランドは、その取り組みを真正性を持って行う必要があると指摘した。「スポーツにおいて真にオーセンティックに登場するブランドは、ストーリーテリングから始めている」とトンプソン氏は語った。「ブランドとスポーツを有機的に結びつけられることが重要である。創業者がそのスポーツを真剣にプレーしていた、あるいはその歴史や発展に長年献身してきた、あるいは実際に製品ラインに影響を与えたアスリートと関係があるといった背景が鍵になる」。
バスケやサッカーの場合、そしてWAGs文化
ほかのスポーツにおいては、ジュエリーの機会は試合そのものより周辺の瞬間に存在する。WNBA選手のような女子アスリートは試合中に派手なジュエリーを着用できないが、ジュエリーブランドとスポンサー契約を結んでいる。WNBAスターのナイアラ・サバリーはキャットバード(Catbird)と契約を結んだ。
ニューヨーク拠点のファインジュエリーブランド、クウィット・ジュエリー(kWit Jewelry)の創業者カーラ・ウィトゥキエヴィッチ氏は、ブランドにとってサッカーがもっとも自然な出発点であったと述べた。それは2度のFIFA女子ワールドカップ優勝者であり、同ブランドのファンでカスタム品を頻繁に購入しているアリ・クリーガー氏とのつながりがあったからである。
「このコレクションで他のスポーツにも展開するが、サッカーから始められたことを非常に誇りに思う」とウィトゥキエヴィッチ氏は語った。
一方で、スポーツとジュエリーのクロスオーバーは「WAGs(選手の妻や恋人)」の世界にも広がっている。
「現在、スポーツ界の女性は最高レベルで競い合うだけでなく、文化的アイコンとして長らく正当に受けるべきだった評価を得ている」と、ジュエリーブランドであるウォーブ(Wove)のCEO、シモーネ・ケンドル氏は語った。「その注目はスポーツ界全体に広がり、WAGsは巨大なプラットフォームを持つスタイルリーダーとして評価されている。スポーツは今やファッション、美容、ライフスタイルとこれまで以上に交差しており、ジュエリーはその領域に自然に適合する」。
ウォーブは2023年に女子ゴルフ界でもっとも有名な選手の一人、ミシェル・ウィー・ウェストとコラボレーションした際にこれを実感した。このコレクションはやがて「TNTブレスレット」誕生につながり、その後フットボール選手のトラビス・ケルシーがガールフレンドのテイラー・スウィフトに贈ったことで「スポーツとポップカルチャー全体に響く瞬間」となった。その結果、スウィフトがブレスレットを身につけた後の数週間でウォーブの売上は2000%増加した。
[原文:From tennis to baseball to the NFL, jewelry brands are embracing sports for viral growth]
Danny Parisi(翻訳・編集:島田涼平)
