フランスのリーグ・アンで今シーズンから一躍脚光を浴びるようになった選手のひとりにバランシエンヌのスティーブ・サビダンがいる。

1978年生まれの28歳。ポジションはフォワード。98年にプロ入りし、これまで2部と3部のクラブを転々としてきた。2004-2005年から当時3部だったバランシエンヌに加入し、19ゴールをあげてチームの優勝に貢献。2部に上がった翌シーズンもバランシエンヌの躍進は止まらず、連続で優勝を決めた。サビダンは16ゴールをあげて得点王に輝いた。

28歳にしてリーグ・アンのデビューとなった今シーズンはこれまで16試合に出場して7ゴール。得点ランキングでジュニーニョ(リヨン)やパウレタ(パリ・サンジェルマン)らと並ぶ堂々の2位タイにつけている。8月にはリーグ・アンの月間最優秀選手に選ばれた。

月給わずか3000フラン(約457ユーロ、現在のレートで約7万2000円)の時代もあった。妻はファーストフード店で働き、自身もサッカーを続けながら、夜はゴミの収集人やバーテンダーのアルバイトをしなければならなかった。ソリの合わない監督から試合に出してもらえず、くさって夜遊びにふけった時期もあった。しかし何度やめようと思っても、サッカーを捨てきることはできなかった。そんなときはジャン=ピエール・パパン(元マルセイユ、ACミラン)のビデオを繰り返し観たという。

まさしくどん底から這い上がってきた遅咲きのストライカー。華麗なテクニックと豊富な運動量でピッチを縦横無尽に走り回るサビダンに、後半戦も大きな注目が集まることは間違いない。