26日発売の「フランス・フットボール」誌にフランス代表のダビッド・トレゼゲ(ユベントス)のインタビューが掲載された。

 トレゼゲにとって、2006年は予想もつかなかった「不運」に見舞われた年。所属するユベントスがセリエAの不正事件によりタイトル剥奪とセリエB降格のペナルティーを科され、W杯ではスタメン落ち。途中出場した決勝では、PKを外して優勝を逃した。

「今年のはじめに占い師に見てもらったとして、こんな1年になると予想されたら、信じることができましたか?」という質問に、「誰もこんなシナリオは想像できなかっただろう」と笑うトレゼゲ。「2007年が待ち遠しいよ!」と語った。

 W杯決勝が終わった夜、「代表を辞めたいと思った」という。理由はPKを外したからというよりは、ドメネク監督の信頼を得られていないと思ったから。「彼のシステムにもっと合う選手にポジションを譲ろう」と考えた。

 しかしその翌日、フランスに帰国したトレゼゲを待っていたファンの声援が代表引退を思いとどまらせる。コンコルド広場に面したクリヨン・ホテルのバルコニーに次々と姿を現した選手の中で、集まった群衆からもっとも大きな声援を受けたのがトレゼゲだった。感動で泣き崩れながら「失敗で終わることはできない」と決意した。

 最近「レキップ・マガジン」が発表したフランス人が選ぶ「好きなフランスのスポーツ選手(現役)」の中で、トレゼゲは9位に入った。サッカー選手の中では、アンリ(2位)、テュラム(4位)に次いで3番目の人気者(ちなみに1位は女子水泳のマナドゥ)。フランスに生まれながら、2歳から少年時代は両親の故郷アルゼンチンで育っただけに、フランス人から愛されるのがことのほかうれしいらしい。

 13日には、ケガから回復し1カ月以上ぶりにピッチに戻った。セリエB降格という状況については、「素晴らしいメンバーがバラバラになってしまったのは残念」としながらも、「新しい世界で人間として学ぶことが多い」と前向きに受け止めている。

 ブッフォン、カモラネージ、ネドベド、デルピエロとともに、若い選手たちを引っ張っていく役割を自任し、やり甲斐を感じている。今シーズンはセリエAへの返り咲きが何よりの目標。移籍についてはシーズンが終わるまでは考えないという。

 代表入りについては、セリエBでプレーするハンディを自覚しながらも、「チャンスをくれたら、自分の持ち味を発揮したい」と語った。とくに次の試合は、自分が育ったアルゼンチンとの親善試合(2月7日)。ユースを含めても、フランス代表のユニフォームを着てアルゼンチンとまだ戦ったことがないトレゼゲにとって、この試合に出られるかどうかが「2007年」を占う最初のヤマになるはずだ。