創立1899年、リーグ優勝8度、フランス杯優勝10度という輝かしい歴史を誇る「仏サッカー界の盟主」オリンピック・ド・マルセイユに売却の噂が流れ、先週末からフランスや英国のメディアがさかんに報じている。

 今シーズンのマルセイユは近年にない好スタートを切り、第5節までは首位、第11節までは2位をキープしていたが、その後はずるずると後退。前半戦終了まで1試合(22日、対サンテチエンヌ戦)を残したところで7位に甘んじている。

 リーグが3週間の休暇に入る直前のタイミングで流れたのは、10年前からマルセイユの大株主である実業家のロベール・ルイ=ドレフュス氏がクラブの売却を検討しているという噂。マルセイユが昨シーズン1000万ユーロ(約15.6億円)の赤字を計上したのに加え、ルイ=ドレフュス氏には1997〜1999年の選手移籍金をめぐる不正事件の裁判で37万5000ユーロ(約5850万円)の罰金が命じられている(現在控訴中)。

 報道では、買い手の候補として、モントリオールのアイスホッケーチームを保有し、リバプール買収を試みたこともあるジョージ・ジレット氏、医薬品メーカー「Inyx」のジャック・カシュカー会長、といった具体的な名前が挙がっている。

 さらに次期監督候補として、W杯後にイングランド代表監督を退任したスベン=ゴラン・エリクソン氏が就任する可能性があると報じられている。

 一連の報道について、マルセイユのスポーツ局長ジョゼ・アニゴ氏は「すべて事実に反する」と回答(21日付レキップ紙)。噂は「ビジネスのための売名行為」とバッサリ切り捨てた。エリクソン監督就任についても全面否定、エモン監督の留任を保証している。

「必要なのは新監督でなく選手の補強」と語るアニゴ氏。「各ラインに1人ずつの補強が望ましい」としている。具体的には、センターバック、中盤のつなぎ役、サイドのフォワードを課題ポストに挙げた。

 この時期にこうした噂が出るのは不振にあえぐ人気クラブの宿命。少なくともマルセイユが冬の移籍市場に向けて積極的に動くことは間違いなさそうだ。