「禿頭の守護神」が帰ってくる。−−先週以来フランスサッカー界の話題を独占していたファビアン・バルテズの現役復帰が17日に正式発表された。20クラブ中19位と不振を極め、44シーズン続けて1部リーグに所属する名門ナントが、2部落ちの危機から脱するために繰り出した「ウルトラC」。

 このバルテズ復帰のニュースは、元フランス代表センターバック、ローラン・ブラン(41)の初監督就任という噂とセットになって報じられていた。

 ブランといえば、フランス代表、マンチェスター・ユナイテッドでともにプレーしたバルテズの盟友。試合前にブランがバルテズの頭にキスする「幸運の儀式」が有名だった。

 2003年に現役を退いたブランは、解説者のオファーも限られた期間しか引き受けず、監督資格の取得に専念していた。2年半かけてDEPF(プロ、アマを問わずあらゆるカテゴリーのクラブでサッカーを教えることができる資格)を取得したのがようやく半年前。周囲がそろそろ監督就任か、と色めき立つのも無理はない。

 しかしブラン監督就任はナントのルシヨン会長が否定、エオ監督続投の意向を明らかにしている。ブラン本人も19日付の「レキップ」紙で、現スタッフに対する敬意を欠くもの、と根も葉もない“噂”への苛立ちを隠さない。

 ブランは同紙のインタビューで、監督と同時にゼネラル・マネージャーというポストにも関心をもっていることも明かした。イタリア、スペイン、イングランドのビッグクラブでプレーしてきたブラン。強いチームをつくるには、クラブ運営やマーケティングが重要であることを実感したようだ。監督資格の取得と並行して2年間の研修を受けたという。

 将来のリヨン入りが取りざたされているブランだが、「リヨンのクラブ運営はほぼ完璧」と暗に自分の出る幕ではないことを、ほのめかしている。チャンピオンズリーグの決勝トーナメントに駒を進めたリヨンやリールよりは、むしろ強豪になり切れないその他のクラブにテコ入れすることで、リーグ・アンを活性化したいという思いが感じられる。