有村架純

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批判を覚悟か

 Snow Manの目黒蓮が主演を務めたフジテレビ系“月9”ドラマ「海のはじまり」(月曜午後9時)の最終回の視聴率が、番組最高を記録し注目を集めている。23日に放送された第12話の平均視聴率は世帯9.5%、個人5.4%で、前回第11話の各7.8%、4.6%から大きく跳ね上がり見事な“終わり”を迎えた。(※以下、ネタバレを含みます)

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 高視聴率の理由は何といっても11話で紹介された最終回の予告編だ。主人公の夏(目黒)と元恋人の弥生(有村架純)の復縁を期待させる内容だったことで視聴者の関心を一気に高めたのだが、蓋を開けたら“切り張り”だったというのだ。

有村架純

 夏の連続ドラマをウォッチングしているテレビ誌ライターがこう振り返る。

「第11話の最終回予告では、弥生が『夏くんのこと好きだった』『頑張って忘れようとしたらもっと寂しくなった』と語るシーンが登場しました。そのため、弥生が夏の学生時代の恋人だった水季(古川琴音)の存在を受け入れて、夏と復縁するのでは、との期待が視聴者の間で高まりました。

 ところが、実際には『夏くんのこと好きだった』は、水季が夏に黙って産んだ海(泉谷星奈)からの伝言、『頑張って忘れようとしたらもっと寂しくなった』は弥生が中絶した経験をもとに『お腹の子がいなくなった後、すごく寂しくなってね。頑張って忘れようとしたら、もっと寂しくなった』という自身の言葉でした。

 つまり、別々の台詞を繋げてあたかも復縁を匂わす台詞にしてしまったというわけです。案の定、SNSでは視聴者から“予告詐欺”といった強い批判を受けました」

 文脈が異なる2つの台詞を切り張りするとは、悪質な手口のように見えるが、批判が起こるのを覚悟して実行に移した確信犯と見るのは早計というもの。テレビ局を長年担当してきた放送記者はこういう見方だ。

吹っ切れた弥生

「夏と交際していて幸せを感じていた弥生は、海とその母である水季の存在を受け入れることができず夏と別れることを決心しました。多くの視聴者は弥生につらい思いをさせている水季に反感を持ち、“復讐劇なのか”“もうこれはホラー?”など生前の水季に嫌悪感を抱く声がネットに多数寄せられています。

 ところが、最終回を何度も見直してみると、弥生はどこか吹っ切れた笑顔を見せて、第7話で海に作ってあげたコロッケを1人で食べたり、夏との交際について『楽しかった』と語ったりしています。

 確かに『夏くんのこと好きだった』『頑張って忘れようとしたらもっと寂しくなった』は切り張りであるとしても、この言葉自体、今の弥生の偽らざる心境なのかもしれません。つまり、台詞の意味が二重構造になっているわけです。そうだとしたら制作チームの手腕はかなり巧妙と言えますね」

 そういう解釈が出てくることを想定していたとしたら見事ではあるが、このドラマはそれとは次元が異なる根本的な問題点を抱えているという。

「最終回は可哀想だった弥生の救済編のようでしたが、そもそも根本的な問題は解決されていません。なぜ海を産んだ水季が実際の父親である夏に連絡を取らなかったのか、なぜ海の存在を夏に知らせず世を去ったのか。このドラマは初めからこうした疑問に答えることはなく、フラストレーションがたまった視聴者がSNSで声を上げる、そして次回を見る、の繰り返しが続くことで話題性を引き上げてきました。最終回でも、その答えが明かされないまま終了し、視聴者に不完全燃焼の感覚を残してしまったのは残念です」(前出の放送記者)

 制作サイドの意図としては、水季が夏に残した手紙の内容の公開を最終回まで引っ張ることで、視聴者の関心を高めようとしたのではないのか。視聴率を上げるために謎を残す手法は、確かに短期的には話題性を生むかもしれないが、長期的には視聴者の信頼を失うリスクがある。

 特に、SNSが発達している現代において、水季が子どもを産んでいたことを夏が知らなかったというのが不自然であり、それにもかかわらず制作サイドがSNSで盛んに番組をPRしていたのは矛盾でしかない。謎が解決されなかった「海のはじまり」は、フジの看板枠である“月9”が「期待感を持たせながらも、視聴者が求める満足感を与えられない」というイメージの固定化につながるのではないか。

 テレビ局の営業関係者がこう指摘する。

「このような手法は一見すると巧妙に見えますが、視聴者にとっては“裏切り感”を高めることがあるため、作品への評価やブランドイメージに悪影響を及ぼす危険があります。視聴者が真剣に捻出した時間や、感情に対して解決をスルーすることは、結果として作品全体の魅力を損ねる危険があると批判されても仕方ありません。主演が人気グループの目黒蓮であったことや、その演技の集中力が評価されて結果的に好視聴率を残しましたが、“月9”というフジの看板枠にとって本当に財産になったのか、議論を呼びそうです」

 今後、視聴者はどのような判断を下すのか。

デイリー新潮編集部