ここにきて、総裁選「高市早苗」の人気急上昇のウラで、議員たちから囁かれる《保守派のプリンセス》最大の懸念点

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人望なしの石破、能力なしの小泉、割って入る高市

9人の候補者が乱立する異例の事態となった自民党総裁選挙は、9月27日の投開票日に向けてカウントダウンに入ってきた。

大手メディアが実施している自民党所属の国会議員や登員・党友を対象にした支持動向調査では、その順位に変動こそあるものの、石破茂元幹事長(67)、小泉進次郎元環境相(43)、それに高市早苗経済安保相(63)が「3強」を形成し、この3人の中から、事実上、次の内閣総理大臣が誕生する可能性が極めて高くなっている。

『週刊現代』(9月7日号)が実施した世論調査でも、「新しい総裁は誰になってほしいですか」(3人まで選択)の問いに、石破氏が53.5%とトップ、次いで小泉氏が43.1%となり、調査の時点で出馬表明前だった高市氏は21.6%で4位につけている。

この調査で23.6%と高市氏を上回る3位につけていた上川陽子外相(71)は、出馬表明が告示日の前日と出遅れ、選挙期間中にニューヨークを訪問し終盤の訴えができなかったこともあって勝利はまずない。

5位以下の林芳正官房長官(63)、小林鷹之前経済安保相(49)、河野太郎デジタル相(61)、それに、茂木敏充幹事長(68)や加藤勝信元官房長官(68)も、議員票、党員・党友票ともに上積みができておらず、総裁選挙の1回目の投票で、決選投票に進出できる「2位以内」をクリアすることも厳しい状況だ。

そこで筆者は、永田町での取材をもとに、『週刊現代』の調査で上位に入った「3強」を中心に、そして、他の6人についても、決選投票で誰を支持するのかを概説していくことにする。

保守派のプリンセス」が日本版ハリスになる日

高市氏をめぐっては、党の選挙管理委員会が禁止を求める前に、政策リーフレットを党員・党友に配布したことが党内で問題視されている。また、推薦人20人に、いわゆる裏金議員13人が名前を連ねていることもいまだに指摘され続けている。

これは、大手メディアの支持動向調査で、高市氏が予想以上に党員・党友に浸透していることの裏返しでもある。

自民党の党員・党友は高齢者が多い。「成長分野への投資で強い経済を」や「防衛力と外交力の強化で日本を守る」といった政策、さらには小泉氏が唱える「選択的夫婦別姓」や「解雇規制の見直し」に異議を唱える姿勢は高齢者には刺さる。

2012年の総裁選挙で、安倍晋三氏を応援するため派閥を脱藩し、その後も安倍氏とは近い関係を維持してきたことも、保守派の支持を受ける要因となっている。

前回、2021年の総裁選挙(1回目の投票)では、安倍氏の支援を受け74票の党員・党友票を得た高市氏。今回、安倍氏からの支援は得られないが、陣営からは、全367票の党員・党友票のうち、「100票の大台に乗せたい」(高市氏支持の衆議院議員)という声も上がる。

保守派からの強固な支持と言えば、アメリカではドナルド・トランプだけど、女性初という点ではカマラ・ハリスだよね。日本版ハリスには上川さんより高市さんが近い」(前述の衆議院議員)

筆者も高市氏が「2位以内」に入る確率は決して低くないと見ている。その高市氏の特徴的な部分を、〇(評価できる点)と●(懸念される点)で分類しておく。

■高市早苗氏

〇ケチケチしない経済対策

アベノミクスを継承した積極財政論者で、「戦略的な財政出動」は、イノベーションを促進し、雇用と所得を増やし、消費マインドも改善するという考え方

中国や北朝鮮が嫌がるサイバーセキュリティ―強化策

サイバー防衛力を世界最高水準に引き上げていくという姿勢が9候補の中で突出。

●積極財政論者だけに財政健全化に後ろ向き

日銀の利上げも否定的。国の借金が膨らみ、仮に利下げを求めるなら再び円安局面も想定される。

●タカ派のイメージ

高市氏が勝てば、中国の警戒度が上昇するだけでなく、日韓関係悪化の懸念も生じる。アメリカがトランプ氏再登板なら、女性首相を軽く扱う可能性も。

…つづく<小泉進次郎、高市早苗、石破茂…混戦する《自民党総裁選》3人の候補者の明暗を分ける「最悪のシナリオ」…さらなる増税、日韓中関係悪化も>では、本命とされる小泉進次郎氏、さらに石破茂氏の評価についてお伝えします。

小泉進次郎、高市早苗、石破茂…混戦する《自民党総裁選》3人の候補者の明暗を分ける「最悪のシナリオ」…さらなる増税、日韓中関係悪化も