国家公務員の約4割が「老後の生活」で赤字?約半数が知っておくべきだったと後悔していることとは?
国家公務員の41.5%は家計が赤字傾向にある
人事院事務総局の「令和5年 退職公務員生活状況調査報告書」によると、一般職国家公務員のうち令和4年度末に60歳で定年退職した人と令和4年度に60歳に達し令和5年7月31日までの間に勤務延長後退職した人の世帯の家計状況は表1の通りです。
表1
出典:人事院事務総局「令和5年 退職公務員生活状況調査報告書」を基に筆者作成
赤字が時々あるいは常に出ている世帯は、41.5%にのぼりました。また「ゆとりはないが、赤字でもない」と回答した人は38.8%おり、全体的に家計状況に余裕がない世帯の方が多いようです。
このような状況を反映してか、同調査において「定年退職後も働きたいと思った」と回答した人のうち、その理由として「日々の生計維持のために必要」と答えた人は85.7%もいました。また「経済的により豊かな生活を送りたい」と答えた人も38.1%いました。
国家公務員が退職後に後悔していること
同調査によれば、国家公務員が「定年退職前にもっと知っておけば良かったと思うこと」として挙げた事項の中で最も多かったのは、「年金、保険に関する情報(51.6%)」でした。それに続いて「資産運用に関する情報(44.6%)」にも回答が集まっています。
退職後にもらえる年金額を見誤ると、支出とのバランスが赤字になることを想定できず、結果的にやりくりに苦労するかもしれません。また現役時代に資産運用を始めていないか、情報を収集しておかないと、後々時間や投資機会を逸したことを後悔する可能性もあります。
同調査では家計がマイナスになる場合の対処法として「退職手当を取り崩す」「退職手当以外の預貯金等を取り崩す」と回答している人が多くいました。
できるだけ貯蓄や退職金に手を出したくない場合は、事前の対策が必要でしょう。
国家公務員が定年退職前に取れる対策
退職後の家計を考えたうえで事前にできる対策はいろいろあります。例えば「年金の計算」です。
事前に将来もらえる年金額を調べておき、予想される支出と比較してどのようなバランスになるかシミュレーションします。将来もらえる年金見込み額は「ねんきん定期便」などで確認可能です。
「資産運用」の可否についても検討できます。NISAやiDeCoなど税制優遇措置がある制度を使って資産運用を始めれば、現在の資産を元手に余裕資金を増やせるかもしれません。
別の方法として、定年退職後に一定期間働き続ける選択肢もあります。すでに退職した先輩職員に話を聞くなどして、セカンドライフの設計を早いうちから立てておくと、資金形成の一助になります。
国家公務員の約4割は退職後の家計に余裕がない。年金・資産運用の早期対策がカギ
国家公務員の約4割の世帯において、退職後の家計に余裕がないことが分かりました。また多くの人は年金をはじめお金に関する情報をもっと集めておくべきだったと後悔しているようです。
現役時代から退職後の資金について入念な準備をしておくことで、余裕資金の形成につながるかもしれません。
出典
人事院事務総局 令和5年 退職公務員生活状況調査報告書 2 定年退職後の就労希望状況 (2)働きたいと思った理由 図2 定年退職後も働きたいと思った理由(6ページ)、6 家族、家計等の状況 (5)世帯の家計の状況、家計がマイナスとなる場合の対処方法 図30 世帯の家計の状況(29ページ)、図31 家計がマイナスとなる場合の対処方法(30ページ)、7 その他 (5)定年退職前にもっと知っておけば良かったと思うこと 図38 定年退職前にもっと知っておけば良かったと思うこと(38ページ)
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー