「公務員」をしています。「大手企業の会社員」の方が年収は高いでしょうか?

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国税庁の令和4年分民間給与実態統計調査によると、全ての企業規模の会社で1年を通じて勤務した給与所得者の平均年収は457万6000円です。これを大手企業に限定すると、公務員とどちらが高年収なのでしょうか? そこで今回は、国家公務員や地方公務員と大手企業の年収を、給与所得者の平均年収と比較しながらご紹介します。

公務員と大手企業の年収はどちらが高い?

まずは、地方公務員・国家公務員それぞれの一般職と、大手企業の年収を比較してみましょう。
 

地方公務員の平均年収

総務省が発表している令和4年地方公務員給与実態調査によると、地方公務員の中でも最も人数の多い一般行政職の給与や賞与、そこから算出した年収(平均給与月額×12+賞与)は表1のようになります。なお、給与月額とは基本給と諸手当を合計した額です。
表1

平均給与月額 賞与
(期末手当+勤勉手当) 年収 40万1372円 155万9968円 637万6432円

※総務省「令和4年地方公務員給与の実態」を基に筆者作成
年収は637万6432円となり、給与所得者の平均年収457万6000円と比べ、180万円ほど高い数字となっています。
 

国家公務員の平均年収

国家公務員の給与は、人事院が発表しています。令和4年国家公務員給与等実態調査の結果によると、一般行政職の平均給与と賞与、年収は表2の通りです。なお、賞与は人事局が公表している国家公務員全体の令和4年6月分のボーナス支給額58万4800円と、12月のボーナス支給額65万2100円を足した数字としました。
表2

平均給与月額 賞与
(期末手当+勤勉手当) 年収 41万3064円 123万6900円 619万3668円

※人事院「令和4年国家公務員給与等実態調査の結果」を基に筆者作成
国家公務員の平均年収は619万3668円と、18万円ほど地方公務員よりも低い年収となっています。ただし、公表されている国家公務員の給与月額には時間外勤務手当など含まれていない手当があり、実際は、この数字よりも高くなる可能性があるでしょう。
 

大手企業の平均年収

最後に大手企業の年収を確認しましょう。
大手企業と呼ばれる明確な基準はないものの、目安としては資本金5億円以上の企業を指すケースが多いため、今回は資本金1億円以上の企業に絞ってご紹介します。国税庁の令和4年分民間給与実態統計調査における資本金1億円以上の企業の給与と賞与、年収を表したものが表3です。
表3

資本金 平均給与年額 賞与 年収 1億円以上~10億円未満 32万4667円 83万4000円 473万円 10億円以上 41万9250円 145万5000円 648万6000円

※国税庁「令和4年分民間給与実態統計調査-調査結果報告-」を基に筆者作成
資本金1億円以上~10億円未満の企業の平均年収は、民間企業の給与所得者の平均年収457万6000円と15万4000円しか差がありません。その一方で、資本金10億円以上の平均年収は648万6000円と給与所得者の平均年収より190万円以上高くなっています。
また、公務員の年収と比較しても、大手企業の年収が最も高くなりました。
 

大手企業の平均年収は公務員より高くなるケースもある

大手企業の年収は、資本金10億円以上の企業の平均で648万6000円となります。地方公務員の平均年収より11万円ほど、国家公務員より29万円ほど高い額です。
公務員の給与は、大手企業と比べ年功序列の傾向が強く、急激に給与アップすることはまれだとされています。一方大手企業では、成果主義を掲げる企業も多く、公務員と比べ若い年齢での昇給がしやすい傾向もあるようです。
とはいえ公務員は、民間企業と比べ給与が高い傾向があり、社会的な評価も高く、安定した職業であると考えられます。
 

出典

国税庁 令和4年分民間給与実態統計調査 -調査結果報告-
総務省 令和4年地方公務員給与の実態
人事院 令和4年国家公務員給与等実態調査の結果
内閣官房内閣人事局 令和4年6月期の期末・勤勉手当を国家公務員に支給
内閣官房内閣人事局 令和4年12月期の期末・勤勉手当を国家公務員に支給
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー