日本のガソリンスタンドといえば、平たい屋根が設置されているものを思い浮かべることが多いと思われますが、なぜガソリンスタンドの多くがあの形に落ち着いたのでしょうか。

実は雨水や雪に強い構造?

 ガソリンスタンドといえば、平たい屋根が目印ともいっていいほど必ず設置されています。目立ちそうではありますが、雨水の排水や雪かきが大変なような気もします。なぜ、あのような形になっているのでしょうか。


ガソリンスタンドのイメージ(画像:写真AC)。

 ガソリンスタンドを運営するENEOSフロンティアによると、あの屋根は「キャノピー」と呼ばれるもので、ガソリンや軽油の給油時に、雨水が燃料に混ざるのを防ぐ目的があるそうです。また、日光を遮ることで、作業中の従業員の負担を軽減する役割もあります。

 水はけが悪そうな見た目ですが、隠された工夫があるそうです。実はキャノピーは完全に平ではなく、緩やかな勾配が設けられています。この勾配により、降った雨水は中央や外側に集まり、配管から排水されるようになっています。

 また、積雪に関しては、基本的に太陽光で溶けるようになっていますが、豪雪地帯などでは、屋根ヒーターが搭載されています。その熱で雪を溶かしたり凍結を防いだりしているとのことで、基本的に雪降ろしの必要がありません。

 ガソリンスタンドはガソリンなど、引火性の危険物を扱うため、建物の建築仕様などは細かく消防法で決まっています。例えばキャノピーで覆う面積に関しては、敷地面積と比較して3分2のスペースしか使用できないと決まっており、使用する素材も金属または不燃材料で造るとされています。

 ただ、屋根の形状に関しては特に消防法などで決まっているというわけではなく、かつては、平型のキャノピーのほかにも、見た目が美しく重厚感があるということでアーチ型も多く使用されていたようです。

 しかし、アーチ型に関しては工期やコストがかさむため、2024年現在は数がかなり少なくなっています。また、これまでは照明として水銀灯が用いられてきましたが、より省エネタイプのLEDを使用している店舗も多いようです。