大谷翔平の“Valuable”さを示す「12」 年130盗塁も果たした偉人に迫るからこそ史上初のMVPに勧めたい
積極果敢な走塁を見せ続ける大谷。(C)Getty Images
大谷翔平(ドジャース)は単なる指名打者(DH)ではない。それを示す記録が話題となった。
現地時間9月11日、本拠地でのカブス戦に「1番・DH」で先発出場した大谷は、初回の第1打席に右中間スタンドへ47号本塁打をマーク。続く第2打席には四球を選んで出塁。すかさず二盗も成功させて今季48盗塁に到達。これで同一試合での本塁打と盗塁を記録したのは12試合で記録となった。
【動画】二盗!三盗!大谷翔平が「走りまくる」シーン
もはや何から何までも“歴史的な記録”となる大谷。それだけに「12」という数字は大した値ではないように見えてしまうがとんでもない。これはいわゆる「現代野球」が始まったとされる1901年以降では、1986年のリッキー・ヘンダーソン(当時ヤンキース)が記録した13試合に次ぐ数字なのだ。
ヘンダーソンといえば、MLB歴代1位の通算1406盗塁を誇る偉人だ。82年には年間130盗塁も達成している“史上最高のリードオフマン”は、大谷を上回る86年もシーズン87盗塁を達成しており、まさに全盛期だった。
そんなレジェンドを“超える”可能性を今シーズンの大谷は秘めている。この事実こそが、彼が単なるDHではない理由だ。
元来、DHは「打つだけ」というイメージが強かった。実際、MVP投票で上位に入ったフルタイムのDH選手たちの盗塁数は二桁にも届いていない。
例えば、1995年にMVP投票で3位に食い込み、打率.356で首位打者、113打点もリーグ4位だったエドガー・マルティネス(当時マリナーズ)の盗塁数は「4」。さらに2006年に54本塁打、137打点の打撃二冠王に輝き、MVP投票で3位となったデビッド・オルティス(当時レッドソックス)に至ってはわずか「1」といった具合だ。
無論、時代やチーム事情によって求められる役割も異なる。だが、“ヘンダーソン級”に走り、なおかつ47本塁打も放つ夢のようなDHはいまだかつて存在しなかったはず。だからこそ、彼は議論百出の「Valuable(価値)」がある選手なのであり、DH史上初のMVPに推挙したくなる。
ヘンダーソンの13を超えるか――。史上初の50-50達成とともに注目したい。
[文/構成:ココカラネクスト編集部]