(写真提供:Photo AC)

写真拡大 (全2枚)

50代になり、老後の生活資金や過ごし方が気になっているのに、<忙しさ>を理由に見て見ぬふりをしてしまう方もいるのではないでしょうか。そのようななか、著述家やブロガーとして活躍する中道あんさんは「不安を埋めるためには、自分自身の<棚卸し>を行い、内側の問題に向き合わなくてはいけない」と話していて――。今回は、中道さんの著書『先細らない老後のために、50代のうちにすべきこと』から、充実したシニアライフを送るための考え方を一部ご紹介します。

【書影】実り多き人生後半戦を迎えるための、ライフシフトアドバイス。中道あん『先細らない老後のために、50代のうちにすべきこと』

* * * * * * *

これまでを棚卸しして、自分の資産を掘り起こそう

この記事を読まれている方の多くは、自らの老後問題をリアルに感じていることでしょう。

そして、これからの人生は、自分が苦手なことを無理して続けるより、自分の好きなことや得意なことで社会に役立っていきたいと考えている方も多くいるはず。

私は、シニア世代を目前に起業を決意したわけですが、それまでは大の苦手だった事務の仕事にしか就いたことがありません。

高校を卒業して初めて社会人になったときも、専業主婦の後、37歳でパート勤務を始め、45歳で正社員として雇っていただいたときも事務職でした。

苦手だと思いつつ、何の学歴も資格もない私がお給料をいただくには、この道しかないと思っていたのです。

若い頃、社会に出る前に真剣に自分と向き合い、就活していれば、と悔やんでも後の祭り。父親のコネで入社し、親には大変迷惑をかけました。

父は私には何も言いませんでしたが、母から聞いた話では、社会人としての立ち振る舞いがなっていない私に対して、当時の上司から監督不行き届きのお叱りを受けていたそうです。(お父ちゃんごめんなさい!)

AI時代に求められること

そんな、ダメダメな私でも起業できました。

それは苦手を手放し、好きなことに舵を切ったからにすぎません。

もう一つ言うと、“この道しかない”ではなく、“この道ではない”と、気づけたことが人生を切り開くカギになりました。

昭和生まれ世代は、俗に忍耐力があると言われますが、その半面、自己犠牲に甘んじているとも取れます。つまり手放しベタだということ。

世は平成から令和になり、AIが著しく進化して、これまで人がやっていた仕事も奪われつつあります。

労働力がなくても産業は回っていく時代です。でも自分という存在はAIにはつくり出せません。

ということは、“自分らしさ”を売りにする時代がやってきたということなのです。

だからこそ、これからは誰もがみな、自分らしくない道ではなく、自分が得意なことで社会に打って出てほしい。

「棚卸し」の目的

では、そのために何をすべきかというと、まずは、生まれてからこれまでの人生を棚卸しする必要があります。

この“棚卸し”の目的は、人生において無意識のうちに抱えてしまっている負債を手放すこと。そしてじつはちゃんと蓄えている自分の資産を掘り起こすことです。


(写真提供:Photo AC)

ここでいう「資産」や「負債」とは、直接お金に結びつくものだけではありません。

これからの人生に役立つものや得意なこと、笑顔になれる好きなことや、明日へのエネルギーとなる好奇心のタネなどが「資産」だとしたら、ストレスを抱えてしまうような環境や人間関係、自分の可能性を摘んでしまうようなマイナスの思考や、健康を害するような悪しき習慣などは「負債」です。

攻めの姿勢で生きてみる

人生100年時代、制約や我慢だけで生きていくには長すぎます。しかも、このインフレ時代に、貯蓄や資産がどんどん目減りするのを、不安を感じず見ていられるでしょうか。

より楽しく、より明るく60代からの黄金期を過ごすために、自分の中に眠っている資産を掘り起こして、攻めの姿勢で生きてみませんか。

例えば、“年金受給にプラスして10万円を稼げる自分になる!”を、目標に設定してみるのもいいかもしれません。

ええ? 10万円も? と思われるかもしれませんが、大丈夫。どんな人の中にもちゃんと「資産」はあるのですから。

※本稿は、『先細らない老後のために、50代のうちにすべきこと』(扶桑社)の一部を再編集したものです。