「ボンカレー」に革新 肉使わずに野菜増やして旨み引き出した3−6歳向け新商品 アレルギー物質含む原材料を一切使わずに開発 大塚食品
大塚食品は「ボンカレー」に革新をもたらした。
手作りカレーのようなおいしさを担保しつつ、野菜がとれて塩分に配慮、肉などのアレルギー物質を含む原材料を一切使わない商品の開発に漕ぎつけた。
商品名は「こどものためのボンカレー」。
2016年から展開している商品の2回目のリニューアルとなるが、その中身は現行商品とは似て非なる実質的な新商品となる。8月26日から発売開始される。
現行品との大きな優位点は、野菜使用量を生換算で現行品から約4倍の80gとした点と、アレルギー物質を含む原材料を不使用とした点の2つ。
パッケージには“アレルギー物質28品目中、該当なし”を謳っている。
現行品では、鶏肉・バナナ・豚肉・りんごのアレルギー物質を含む4つの原材料を使用しているが、リニューアル品では使用していない。
取材に応じた中島千旭製品部レトルトチームボンカレー担当APMは「アレルギー物質28品目に対応したレシピにしたのが今回の大きなポイント。カレーはお肉の旨みやフルーツの甘さがポイントとなるが、それらを使えないため、開発者はかなり苦労した」と語る。
開発には1年を要し、野菜量を増やしながら子どもの好みの味となるよう、旨みや甘みを引き出すべく試行錯誤を重ねる。
「開発者の話では、野菜には甘み、旨みがあるが、野菜をやみくもに増やすとえぐみが増し、おいしくなくなってしまう。この課題に対し、使用する野菜の種類と加工方法を組み合わせて解決していった」と説明する。
味づくりには、「ボンカレー」開発者に代々受け継がれて守られてきている“あめ色玉ねぎ”による甘み・旨み・香ばしさも活用。
「素材の深い味わいを最適に引き出せるまでじっくり炒めたあめ色の玉ねぎは、現在まで『ボンカレー』の根底にある共通の味をつくり出している」と胸を張る。
野菜量の80gは、「4つの食品群の年齢別・性別・身体活動レベル別食品構成『八訂食品成分表2024』資料編」(女子栄養大学出版部)にて算出。子どもの野菜摂取目標1日240gの3分の1に相当する。
「実際の子どもの野菜摂取量は1日129gと111g不足していることから3回の食事のうちの1食分をフォローできるように生換算80gの設計にさせていただいた」。
同社が今年4月、3〜6歳の子どもを持つ30〜40代の男女を対象にした“こどもの食品の選択時に重要視すること”に関する調査では“野菜が多くとれる”がトップとなった。
現行品と比べ、緑黄色野菜の比率を高め3分の1以上を占めるようにした点も特筆すべき点。人参・玉ねぎ・ブロッコリー・トマト・かぼちゃ・コーンを使用している。
じゃがいも使用しているが、八訂食品成分表ではじゃがいもはいも類に含まれ野菜類には該当しない。
ターゲットは3−6歳の未就学児。食べやすさを考え、じゃがいもなどは小さめのサイズとなっている。そのほか、塩分量を現行品1.6gから1.2gへと低減したことと、従来からの特長としてレンジ調理できることも訴求ポイントに挙げる。
「30〜40代の共働きの世代が、アレルギー物質などを考えながら食材を買い、さらに手間暇かけて調理するのはとても大変なこと。そんな方たちに少しでもお役立ちしたい」との思いを込めた。
市場には、人気キャラクターをあしらった子ども向けレトルトカレー商品もあるが、人気キャラクターには頼らず中身で勝負する。
「“子どもがほしいカレー”ではなく、あくまで、“親が子どもに食べてほしいカレー”にこだわった」という。
この考えを前提にパッケージも工夫。子どもに喜んでもらうべく動物のイラストをあしらい、ボンカレーの象徴となる3重丸のロゴを手書き風でデザインした。
イラストは、ゾウ・ライオン・サルの3種類をラインアップ。ロゴについては「こういう優しい柔らかい感じの手書き風のロゴは『ボンカレー』史上初めて」と述べる。
販売チャネルは、スーパー、ドラッグストアに加え、レトルト食品「マイサイズ」で開拓した調剤薬局に提案している。
「未就学児は頻繁に風邪をひかれることから小児科の近くの調剤薬局などに提案している。一般小売店様に対しては、増加傾向にあるアレルギー物質不使用の棚やレトルトカレー棚に向けて提案している」という。
コミュニケーションはブランド公式SNSでの発信を予定。
同商品を「ボンカレー」ブランドの次世代ユーザーの開拓にもつなげる。
「ターゲットの方が将来、大きくなられたときに思い出していただき『ボンカレー』のファンになっていただきたい」との青写真を描く。