人間は怒ったり興奮したり恥ずかしくなったりすると顔が赤くなる性質を持っています。この感情に応じて赤面するという特性は人間だけでなくニワトリにもあることが研究で判明しました。

Facial blushing and feather fluffing are indicators of emotions in domestic fowl (Gallus gallus domesticus) | PLOS ONE

https://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.pone.0306601



Hens blush when excited or scared, study finds | CNN

https://edition.cnn.com/2024/07/25/science/hens-blushing-emotions-intl-scli-scn/index.html



イヌやウマ、ブタ、ネズミなど、いくつかの哺乳類では表情についての研究は行われてきましたが、鳥類ではそれほど広く研究されていません。

研究チームの共同リーダーで、フランスの国立農業研究所の研究員であるアライン・ベルタン氏は「私たちの研究は、飼育されているニワトリが敏感で、感情の機微を表現できることを示しています」とコメントしています。

ベルタン氏らの研究チームは、フランスの農場で4週間にわたり、2種類の異なる品種のメスのニワトリ17羽を観察し、ニワトリの日常的な行動やさまざまな刺激に対する反応を撮影しました。



実験では、休息・採食・羽繕い・砂浴び・警戒・捕獲・給餌など、ポジティブあるいはネガティブな感情と覚醒レベルが異なる状況が設定されました。そして、研究チームは撮影した動画から2秒ごとにフレームの画像を抽出し、ニワトリの横顔を最もよく表わしている画像を選びました。

その結果、頭部の羽毛の状態は状況によって変化し、特に休息や羽繕い、砂浴びなどのポジティブな感情が与えられる状況では、羽毛がふわふわと膨らむ傾向が見られました。一方、採食中や捕獲時には羽毛は平らになりました。

特に、ニワトリが高覚醒状態であれば顔の皮膚の赤みがより増したとのこと。また、外敵に対して警戒したり、捕獲されそうになって恐怖を覚えたりといったネガティブな感情が与えられる状況では、ポジティブな状況よりも赤みが強くなることが判明。赤みは特に頬と耳たぶに当たる部分に強く表れることもわかりました。



研究チームは、ニワトリの顔の表情変化がニワトリの感情を示す重要な指標になると論じています。従来、顔を赤らめるという現象は人間特有の感情表現だと考えられていましたが、ニワトリにも存在したことが判明したことから、研究チームは感情表現システムにも進化的連続性があるのではないかと推測しています。

研究チームは、「今回の研究は鳥類の感情的経験や認知能力が従来考えられていたよりも複雑である可能性を示唆しています。この研究が鳥類の感情表現についてのさらなる研究の出発点となることを期待しています」と述べました。