7回、追加点を奪われ降板する大竹(撮影・山口登)

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 「阪神1−5広島」(10日、京セラドーム大阪)

 “鯉キラー”に初めて土がついた。首位・広島との大事な一戦。阪神・大竹耕太郎投手(29)は目の前を駆け抜けていく走者を見つめ、厳しい表情を浮かべた。大崩れはしなかったが、6回2/3を投げて7安打4失点。無念の6敗目を喫した。

 「内容とかはどうでもいいというか。勝つためにやっているんで。7回2失点で粘りたかった」

 先制点を献上したのは二回。先頭の末包に四球を与えると、続く坂倉に9打数連続安打となる右前打を許した。菊池の犠打で1死二、三塁。迎えた堂林には直球を中越えにはじき返され、先制の2点適時二塁打で主導権を握られた。

 この試合前まで広島打線とは相性抜群だった。通算10試合で8勝0敗。今季も3度先発して2勝0敗、防御率0・45と完璧に抑え込んでいた。

 2点を追う二回にはバットで意地を見せた。2死二、三塁のチャンスで打席へ。広島先発・森下が投じた1ストライクからの2球目、内角寄りの140キロカットボールに反応した。コンパクトなスイングで捉えた打球は一、二塁間を破る適時打で1点差。今季、得点圏では10打数5安打3打点、打率・500と驚異的な勝負強さを発揮した。

 悔しさをにじませるのは1点ビハインドの七回。2本の安打で2死一、二塁のピンチを背負った。「紙一重ですけど、後悔はないです」と、迎えた会沢に左前へポトリと落ちるタイムリーを浴びて3点目。その後、満塁として矢野にも左前へ適時打を運ばれて交代となった。

 レギュラーシーズンも残り39試合となった。上位混戦の中で抜け出すためには1つでも多く勝つしかない。「落ち込む暇もないですし。次、しっかり結果を出せるように前向きに準備するだけ。車で家に帰るまでは落ち込んで、家に着いたら切り替えてしっかり準備しようかなと思います」と大竹。一戦必勝を誓い、託されたマウンドで全力を出すだけだ。