トヨタ「プリウス“SUV”!?」 24年内に2台発売!? トヨタとBYD共同開発のサメ顔「新型SUV」 中国市場の現状は?

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トヨタとBYD共同開発のBEV、現状と今後

 変化の目まぐるしい中国市場では今、外国メーカーが中国向けEV開発のために中国メーカーと提携する流れが目立っています。

 その中でも先駆けと言えるのが、2020年に始まったトヨタとBYDの提携です。

トヨタ最新「クロスオーバー&SUV」世界初公開!(撮影:加藤博人)

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 中国は2023年に3009.4万台の新車を販売(輸出含む)し、15年連続で世界最大の自動車市場に君臨し続けています。

 また、その31%にあたる949万台がEV(PHEVとBEV合算)となり、電動車市場においても世界を牽引する市場です。

 中国市場では中国メーカーに負けじと、多くの外国メーカーが中国専売BEVを投入しており、日本メーカーも例外ではありません。

 例えばトヨタでは2020年に中国の自動車メーカー「BYD」との提携を発表、電気自動車(BEV)の研究開発をおこなう合弁会社「BYD TOYOTA EV TECHNOLOGYカンパニー有限会社(BTET)」を設立しました。

 今でこそBYDはEV(BEV+PHEV)販売で年間約302万台を販売(2023年)、日本でも乗用車の販売を始めたメーカーですが、2020年当時は注目を集めていたものの、年間販売台数は50万台前後でした。

 BYDは2021年以降、新たな技術やプラットフォームを続々投入し、また海外市場へも積極的に進出していくようになります。

 これほどの急成長ぶりを歩む前から提携を決めたトヨタは先見の明があったと言えるでしょう。

 この提携が発表された当時は日本でも大きな話題を呼び、「いよいよトヨタが負けたか」などという煽情的な反応も見受けられました。

 ですが2023年ごろから中国メーカーたちが続々とEV販売で目まぐるしい進歩を見せる中、それらに太刀打ちできない欧州メーカーはその中国メーカーとの提携を模索し始めます。

 例えば、フォルクスワーゲンは2024年に新興EVメーカー「シャオペン(Xpeng)」と提携、シャオペンの電動プラットフォームをベースとするフォルクスワーゲンブランドのEVを2026年より中国で展開する予定です。

 また、フォルクスワーゲンの中国向け廉価ブランド「ジェッタ」では同じく新興EVメーカー「リープモーター(Leapmotor)」と、アウディは上海汽車と提携してEVの開発をおこなうと発表しています。

 これらの提携は、「一汽トヨタ(第一汽車とトヨタ)」や「広汽ホンダ(広州汽車とホンダ)」、「上汽フォルクスワーゲン(上海汽車とフォルクスワーゲン)」、「北京ヒョンデ(北京汽車とヒョンデ)」などの、外資系メーカーが中国国内で生産するために中国メーカーと組んだこれまでの合弁とはまったく異なる形です。

 今までの合弁は「製造」「販売」を中心としていましたが、トヨタとBYDに代表される新しい形の提携は「提携先となる中国メーカーの技術やプラットフォームを提供してもらう」ことに重きを置いており、そこから中国専売EVなどの開発へ繋げていく狙いがあります。

トヨタとBYDによる提携で誕生した「bZシリーズ」とは?

 トヨタとBYDによる提携の初となる成果は2022年にお披露目された純電動セダン「bZ3」として形になりました。

 純電動サブブランド「bZ」第二弾のこのモデルは駆動用バッテリーやモータなどにBYDが関わり、その制御やボディ、乗り味の部分に関してはトヨタが開発しています。

 また、採用プラットフォームはbZ3専用開発で、フロント周りにトヨタの「e-TNGA」、それより後ろにBYD「e-プラットフォーム 3.0」の改良したものを組み合わせています。

 これにより、BEVならではのショートオーバーハングに加え、広々としたキャビンを持つ唯一無二のセダンパッケージングが完成したわけです。

 全長4725 mm x 全幅1835 mm x 全高1475 mm、ホイールベース2880 mmのボディには容量49.92 kWh、および65.28 kWhのBYD製リン酸鉄リチウムイオン電池を搭載。

 航続距離(CLTCモード)はそれぞれ517 kmと616 kmとなります。

 また、出力は49.92 kWhバッテリーを搭載する下位グレードで181 hp、上位グレードで241 hpとしており、どちらもBYD製永久磁石同期モーターをフロントに配置しています。

 bZ3はトヨタとBYD、そして実際の製造と販売をおこなう「一汽トヨタ」の3社が連携し、2023年3月に中国で発売されました。

 2024年3月までの1年間で約3万4000台を販売、現在は毎月5000台前後を売り上げている形になります。

 日系メーカーのBEVと考えると善戦してる数字ですが、一汽トヨタ内で比較するとRAV4はbZ3の約2.5倍、カローラクロスは約2.2倍、そしてカローラは約1.3倍を販売しており、人気モデルとの差が目立ちます。

 ミドルセダンの販売台数ランキングにおける上位は依然としてガソリン車やハイブリッド車が目立っており、BEV一辺倒と一概には言えないのが中国市場の特徴です。

トヨタとBYDによる第1弾モデルは純電動セダン「bZ3」(撮影:加藤博人)

 2024年4月に開催された北京モーターショー2024では、BYDとの共同開発モデル第2弾となる「bZ3C」が発表されました。

 コンセプトモデル「bZ Sport Crossover Concept」でもプレビューされたローでワイドなフォルムを特徴とし、ボディは大人5人が座っても窮屈さを感じさせないファストバックSUVとなります。

 bZ3Cは流行に敏感な中国の若年層をターゲットとしており、その好みを反映すべく、車内は細い横長のディスプレイに加えて大きなセンターディスプレイをベースとした設計を取り入れています。

 また、製造と販売はbZ3と同じく一汽トヨタが担当する形になります。

 トヨタはbZ3Cに加え、同時に発表した広汽トヨタの「bZ3X」を2024年中に中国市場で販売するとしています。

 また、この2車種を含む計10車種のBEVを2026年までに投入する予定です。