黒川敦彦容疑者

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 政治団体「つばさの党」代表の黒川敦彦容疑者(45)ら3人が、今日にも公職選挙法違反容疑(自由妨害)で再逮捕される。「3回目の逮捕までほぼ確定している」(警視庁関係者)とのことだ。逮捕時は警察官に押さえつけられながら、満面の笑みでピースを決めて踊っていた黒川容疑者。取調室でもさぞ暴れていると思いきや「意外な評判」が…。

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【写真14枚】東京・練馬区の小池百合子都知事邸前で拡声器を使って「学歴詐称の白塗りババア!」と大騒ぎする「つばさの党」のメンバー。マスコミ・警察など50人が駆けつけ閑静な住宅街は大混乱に

警察は15回の選挙妨害行為を確認している

 最初の逮捕は、衆院東京15区補欠選挙の告示日の4月16日、JR亀戸駅前の電話ボックスの上から拡声機で怒号を浴びせるなどして乙武洋匡氏陣営の演説を妨害した容疑だった。再逮捕前にこの容疑で起訴もされる予定だ。

黒川敦彦容疑者

「暴行行為などがない選挙妨害で逮捕までして立件するのは前例のないことでしたが、家宅捜索後も小池百合子都知事の自宅に逆ギレして街宣をかけるなど増長する一方だったので、異例の逮捕に踏み切りました」(警視庁関係者)

 今回の再逮捕は、4月17日と23日、立憲民主党から立候補して当選した酒井菜摘氏陣営を選挙カーで追いかけ回したり、演説妨害をした容疑。

 さらにもう一回、別の選挙妨害容疑で再逮捕する方針が「ほぼ確定している」(同)という。理由は、6月20日に告示される東京都知事選に黒川容疑者と根本良輔容疑者(29)が出馬表明し、「小池百合子を徹底的にやる」と宣言していたからだ。

 今日再逮捕されると次の勾留満期は選挙戦まっただた中の6月31日頃になるが、もう一回逮捕してつなげば選挙中は外に出られなくなる。

「一番の目的は都知事選であの悪夢の再来を防ぐこと。次に裁判で有罪に持ち込み、公民権を停止させてしばらく選挙に出られなくさせることです。捜査員は『15回の妨害行為を確認した』と話しています」(同)

急に大人しくなった”残党たち”

 勾留中でも罪が確定しない限り立候補は可能だ。彼らの代わりに残ったメンバーらが暴れる展開にはならないかと当初は心配されていたが、その気配はないという。

「逮捕直前は警視庁本部に3夜連続で街宣をかけるなど大暴れでしたが、3人がいなくなった途端に大人しくなった。警察に目を付けられるのが怖いのでしょう」(同)

 確かに逮捕前、黒川容疑者らはYouTube配信で「警視総監はパクられた後に支持者にやってもらおう。そっちは大トリなんで」などと意気込んで話していたが、逮捕後は支持者らしき人物一人が警視総監自宅前で一回拡声器を使って騒いだだけ。ほとんどのコアなメンバーは街宣活動を控えている。

 では、黒川容疑者は取調室でどんな様子で刑事と相対しているのか。「意外と行儀がいい」と評判だというのだ。

「逮捕時の様子などから担当者はまともな会話が成立しないだろうと不安に思っていた。ただ、実際に話すと礼儀正しくてびっくりしたそうです」(同)

4年前に講談社から新書を2冊も出版

 黒川容疑者を取材したことがある記者も「面と向かうとまったく攻撃的な素振りはなく、話す内容もまとも」と話す。「デイリー新潮」記者も補選が終わった直後にインタビューしたが、「マスコミのみなさんが我々を批判する気持ちもわかるんで、どうぞ批判的に書いてください。記者さんを個人攻撃などしませんから」と丁重に話していた。

 確かに黒川容疑者には「ヘイヘイヘイ」と対立候補を煽る姿とは想像もつかない面がある。学歴は大阪大学工学部卒。卒業後は数年、NEDO(国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構)で働いていた。つい4年前には大手出版社の講談社から2冊も新書を出している。

 タイトルも『ソフトバンク崩壊の恐怖と農中・ゆうちょに迫る金融危機』『ソフトバンク「巨額赤字の結末」とメガバンク危機』と、いかにもまともな知識人が書きそうな本だ。しかも、講談社関係者によれば「2冊で5万部以上売れた」という。スイッチが入ると狂気に走ってしまうのかーー。

 一方の根本容疑者の様子はというと、

「終始イライラした様子で、『何度同じこと聞くんですか』と机に突っ伏してしまうこともあるようです」(前出・警視庁関係者)

 逮捕後、Xで面会人による代筆と思われる「日記」の連載を始めているが、確かにかなりフラストレーションが溜まっているようだ。 

〈勾留12日目 今日から日記を書くことにした。今日は取り調べがなくて、誰とも喋れずしんどかった。一昨日の10日の勾留延長の告知は、分かってはいたものの精神的にきた。その次の日の取り調べで不満をぶつけてしまった。イライラしやすくなっている。こまめに運動をして解消するように努める〉(根本容疑者のXより)

〈勾留17日目 今日は風呂の日、湯舟最高。昨日の検察の取り調べでいかに検察が信用できないかを村木氏山岸氏の事件を引き合いに出して力説した。超困っていた。そして今回の取り調べも日本の司法への怒りをぶちまけた。怒鳴りすぎて喉が痛くなったので「もう終わろう」と言ったら取り調べが終わって草〉(同)

 これに懲りて、もう身勝手な理屈で公正な選挙の邪魔をするのはやめていただきたい。

デイリー新潮編集部