2023年は日本を含めた世界各国で気温が上がり、平均気温が統計開始以降最高を観測した「史上最も暑い年」となりました。日本では2021年秋から2022年/2023年冬まで続いたラニーニャ現象の名残を受けて気温が上昇したとされ、世界的には2023年春から始まったエルニーニョ現象の影響で大気が温められたと見られていますが、2024年は再びラニーニャ現象が発生する可能性が指摘されています。

La Niña is coming, raising the chances of a dangerous Atlantic hurricane season - an atmospheric scientist explains this climate phenomenon

https://theconversation.com/la-nina-is-coming-raising-the-chances-of-a-dangerous-atlantic-hurricane-season-an-atmospheric-scientist-explains-this-climate-phenomenon-228595

エルニーニョ現象とラニーニャ現象について、気象庁は次のように説明しています。

エルニーニョ現象とは、太平洋赤道域の日付変更線付近から南米沿岸にかけて海面水温が平年より高くなり、その状態が1年程度続く現象です。逆に、同じ海域で海面水温が平年より低い状態が続く現象はラニーニャ現象と呼ばれ、それぞれ数年おきに発生します。エルニーニョ現象やラニーニャ現象は、日本を含め世界中の異常な天候の要因となり得ると考えられています。


気象庁は2024年5月〜11月の見通しについて「2024年春の間にエルニーニョ現象が終息して平常の状態になる可能性が高い(90%)。秋にかけて平常の状態が続く可能性もあるが(40%)、ラニーニャ現象が発生する可能性の方がより高い(60%)」としています。

アメリカ・コロラド大学の大気海洋科学者であるペドロ・ディネジオ氏によると、2024年はラニーニャ現象への移行が早く進むと予想されており、いつまで続くかは未知数であるとのこと。

ラニーニャ現象が発生すると、日本では春の降水量が増加し、夏には北日本から中国北東部にかけて気温が上昇します。



太平洋赤道域の対流圏では、空気が地上から上層にかけて東西方向に大きく循環する「ウォーカー循環」と呼ばれる現象が発生していますが、ラニーニャ現象の間これらの循環は激化し、上昇気流が発生するインドネシア付近では秋に荒れ模様に、空気が下降する太平洋東部等では乾燥した状態になります。アメリカ大陸北西部からカリブ海諸国にかけては、春や秋に降水量が減少するため、ディネジオ氏は「2023年の冬に降った雨のおかげで1年くらいは持ちこたえるだろうが、2年目3年目には深刻な水不足に陥る可能性がある」と指摘しています。



冬の間は、日本は西高東低の気圧配置が強まり、気温が低くなる傾向があります。



世界に目を向けると、アマゾンやオーストラリア付近で雨が多くなります。オーストラリアは前回のラニーニャ現象の時に大洪水に見舞われたため、今回も警戒が必要だとされています。一方でチリやアルゼンチン、中央アジアや中東付近ではラニーニャ現象が発生すると干ばつに見舞われます。

アメリカでは夏から秋にかけて発生するハリケーンが激化するとされるほか、空気が乾燥することにより、火災が増加する恐れもあります。ディネジオ氏は「2023年に世界が経験したように、エルニーニョ現象やラニーニャ現象は気温を悪化させ、降水量も桁外れなものにする可能性がある。2023年の夏以降、世界は10カ月連続で記録的な高温に見舞われている」とまとめました。

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