54歳でショートヘアに。「若々しくなった」と好評で、60代の今もおしゃれがラク
年齢とともに似合わない服が増えたと感じたり、おしゃれに苦手意識が増したりする人は多いもの。
SNSでファッションやライフスタイルを発信している61歳の金子敦子さんは、著書『ヤッホー!60歳』(扶桑社)で、年齢を理由にせず新しいことにチャレンジする大切さを伝えています。「いくつになっても新しいことに挑戦するのが大切」と話す金子さんに、大人が悩みがちなヘアスタイルやファッションについて教えてもらいました。
「美人じゃないと似合わない」諦めていたショートヘアに挑戦
私がショートヘアにしたのは54歳のとき。若いころからずっとあこがれていましたが、「美人じゃないと似合わないよね」「おばさんぽくなるかもしれない」と不安で、なかなか思いきれませんでした。実際に切ったら顔まわりがすっきりして、いつもと同じ服がおしゃれに見える。
もしかすると「おしゃれになりたい」と思ったら、服を買うより髪型を変えるほうが手っ取り早いかもしれません。まわりの人たちにも「似合うね」「若々しくなった」と大好評でした。ショートヘアマジックですね(笑)。
カットは信頼している東京・代々木八幡にある美容室「TANGRAM」で、月に1回ほど。そのときいちばん好きな服を着て行って、「この服に合う髪型にしてください」とオーダーしています。毎回、カットの仕方やカラーを少しずつ変えてくれるので、新鮮で楽しい。私の本の読者の方が真似してくださることも多いようです。
勝手な思い込みで自分の世界を狭めない
服も、以前は太めのパンツは「おしゃれすぎて似合わない」「おしゃれな人がはくもの」と思い込んで、着るのに躊躇していました。思いきってはいてみると、普段は辛口の娘が「かわいい、似合ってる!」と言ってくれて、勇気がわきました。あのまま躊躇していたら、今もおしゃれの楽しさを知らないままだったかもしれません。
それから太めのパンツをいろいろ試して、より自分に似合うものを見つけることができました。勝手な思い込みや決めつけで自分の世界を狭めてしまうのは、もったいないと思います。
とはいえ、60歳でスポーツ自転車に乗りたいと思ったときも少し気後れしました。「60歳でスポーツ自転車を始めて大丈夫かな」「おばさんには似合わないよね」という気持ちがどこかにあって。
でも、年だから似合わないとは限らない。好きなものややりたいことなら似合うための努力をするから、きっと似合うようになっていくはず。この先も思い込みをやめて、自分の世界を大きく広げていきたいです。
チャレンジできるようになった大きなきっかけ5つ
よく驚かれますが、幼少のころはおとなしくて、引っ込み思案だった私。これは、今の自分に変わる大きなきっかけになった5つのものと行動です。
1:壁を塗る
リビングダイニングの壁を赤に塗ったのは8年前。映画『アメリ』の主人公の部屋の壁にあこがれて、似た色を探しました。「カラーワークス」の塗料「Hip」の「Hug」という色です。意外にも家族にも大好評。「壁を塗った自分、すごい!」と自信にもなりました。
赤が交感神経を刺激したのか、壁から放たれるパッションを浴び続けたからか、これを機に、守る人生から攻める人生にチェンジ。自由な発想と大胆な行動ができるようになりました。色の力、あなどるべからず。
2:おしゃれ
おしゃれを始めたのは50代から。もともとはおしゃれに悩む普通の主婦でした。毎日のようにコーディネートを自撮りして、アップしていたブログが編集者の方の目に留まり、雑誌に出たり、本を出したり、ブランドとコラボレーションして服をつくったり。トークショーやサイン会までさせていただきました。嘘みたいな本当の話です。
40代のころより60代の今のほうが、見た目も心も間違いなく若い。若さをキープするには、おしゃれは特効薬だと思います。
3:歯の矯正
50代で始めて2年5か月かかりましたが、それまで歯が気になって笑えなかったのが、矯正をしたらいっぱい笑えるようになりました。効果は絶大!
いっぱい笑ったら人とのつながりができて、つながりが新たなつながりをつくって、仕事がどんどん増えています。積極的に行動できるようになったことで、人生のチャンスが次々やってきたんだと思います。
後悔があるとすれば、もっと早く始めればよかったということ。大人になってからでも遅くないと思います。
4:登山
登山は40代後半で始めて、一度お休みしてから3年前に再開しました。運動が苦手な私でも、自分の足で歩けて、山頂に立つ喜びを感じられる。山に登る理屈なんてない、山にいるだけで最高に楽しいんです。
山が教えてくれたことのなかで大きかったのは、軽さの価値。ザックが重くてしんどかったので、軽くしたらラクに歩くことができてびっくり。それから普段着や暮らしの道具の重さも量って、軽量化するようになりました。心も軽くなったし、暮らし方や考え方まで軽くするきっかけに。
5:イヤホン
昨年、ドイツの音響機器メーカー「ゼンハイザー」のイヤホンを購入。
最初に聴いたのがピアニスト・辻井伸行さんが弾くピアノで、まるでコンサートホールにいるような臨場感! その美しい音色に心を打たれ、没入して聴いていたら涙がポロリ。すぐにコンサートを予約して、ひとりで山梨まで行きました。人生初の推し活ひとり旅。イヤホンを買ったら、推しに出会いました(笑)。
コンサートはイヤホンで聴く何倍もよかったけれど、頻繁には行けないので、次の機会まで家で楽しみます。
60代になってから、「今がいちばん楽しい!」という金子敦子さんのライフスタイル本『ヤッホー!60歳』(扶桑社)では、ファッションについてもくわしく紹介。コンパクトでも快適に暮らす住まいの工夫や人づき合い、60歳から新たに始めたスポーツ自転車やゴミ拾いの習慣など、好奇心を失わず前向きに過ごすヒントが詰まった1冊です。