イーロン・マスクのチャットAI「Grok」がついにオープンソース化、他のオープンソースモデルより格段に優れているとの指摘も
イーロン・マスク氏が立ち上げたAI企業のxAIが、少し毒のある返答を好むチャットAI・Grokのモデルデータをオープンソース化しました。公開されたのは特定の用途向けに最適化される前の生データであるため、ユーザーが必要に応じてモデルを最適化することができます。
Open Release of Grok-1
https://x.ai/blog/grok-os
Elon Musk to Open Source Grok Chatbot in Latest AI War Escalation - The New York Times
Musk's Grok AI goes open source | VentureBeat
https://venturebeat.com/ai/musks-grok-ai-goes-open-source/
GrokはSF小説「銀河ヒッチハイク・ガイド」にちなんで「少しウィットに富んだ生意気な返答」をするよう仕上げられたAIモデルです。マスク氏が所有するSNS「X(旧Twitter)」のデータでトレーニングされることがあると明言されており、Xの有料会員は先んじてGrokを利用することができていました。
そんなGrokについて、マスク氏は2024年3月11日に「今週、オープンソース化します」と発言。
イーロン・マスクがChatGPTに対抗する生成AI「Grok」を間もなくオープンソース化すると発表 - GIGAZINE
宣言通り、3月17日にGrokはオープンソース化されました。GrokはApacheライセンス2.0の下でオープンソース化されており、商用利用、改変、配布が可能ですが、商標登録はできません。加えて、オリジナルのライセンスと著作権の表示を行い、自身が加えた変更を明記する必要があります。
GitHub - xai-org/grok-1: Grok open release
https://github.com/xai-org/grok-1
Grokは、競合する他社のモデルよりも強力だという指摘があります。Grokは多ければ多いほど高性能とされる「パラメーター」の数が3140億もあり、これはMetaのLlama 2(700億)やMistral 8x7B(467億)といったオープンソースの競合を大きく引き離しているためです。
一方、AIレースでトップを走るOpenAIの「GPT-4」のパラメーター数は1兆以上とも言われていますが、こちらは正式には公開されておらず、オープンソースでもありません。当初、OpenAIは社名の通り「AIをオープンな存在にする」という目標に向かって開発を進めていたのですが、後にAIのリスクについて責任を負う必要があるとして、データセットやトレーニング方法などを非公開としています。
理念を覆すような方針転換に対し、OpenAIに初期投資を行ったマスク氏は、「OpenAIはいつの間にか非営利企業から営利企業に移行し、Microsoftから多額の投資を受けて子会社のようになっている。AIのような重要なテクノロジーはGoogleやMicrosoftのような技術大手だけにコントロールされるべきではない」と指摘。名前に反してクローズドな企業になってしまったOpenAIを元に戻すため、訴訟を提起しました。
イーロン・マスクがChatGPTの開発元OpenAIを訴える、「Microsoftの事実上の子会社」と主張 - GIGAZINE
マスク氏は、Grokのオープンソース化宣言にコメントを残したOpenAIに対し、「OpenAIの『オープン』の部分について詳しく教えてください」と皮肉を込めたコメントを返しています。
Tell us more about the “Open” part of OpenAI …— Elon Musk (@elonmusk) March 17, 2024
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