エッチなことを考えると鼻血が出るのは本当だった? 冬に鼻血が出やすいのはなぜ? 知っておきたい原因と正しい止血法

突然、鼻血が出るとまずは、ティッシュを鼻に詰めたり、上を向いたりといった止血方法をしてしまうが、果たしてそれは正解なのか。身近な症状だからこそ、その原因と正しい処置方法を知っておきたいもの。大人の鼻血の原因、鼻血に気をつけたい季節などについて、ウチカラクリニックの院長、森勇磨先生が解説する。

冬は鼻血が出やすい季節、エッチなことを考えると鼻血は出やすい?

鼻血は鼻を強くかんだり、ぶつけたり、鼻の穴をいじったりしてうちに出ることがほとんどで誰しもが経験したことがあるでしょう。

鼻血のほとんどは、鼻の穴を左右に分ける壁である鼻中隔(びちゅうかく)の入口付近にある「キーゼルバッハ部位」に血管が集中しているため、そこから出血していることが多いものです。また、この部位は外からの刺激を受けやすく粘膜が薄いため、出血しやすいのです。

また、子どもは大人に比べて、鼻血が出るのは大人より、鼻をいじったり、強くかんだりすることが多いうえに、鼻の粘膜が大人に比べて薄いため、鼻血が出やすい傾向にあります。

子どもが鼻の穴をいじる、触りすぎるなどのクセがある場合は控えるように注意してあげましょう。

そして実は冬は鼻血が出やすい季節です。

冬は空気が冷たく、乾燥しているため、鼻の粘膜も乾きやすくなり、ちょっとした刺激でも傷つきやすくなるからです。さらに室内外の温度差も鼻血が出やすくなる原因になります。

寒い屋外から、急に暖かい室内に入ると、急激な温度の変化によって自律神経の機能が乱れ、血管の収縮、拡張のずれが生じてしまい、鼻血が出やすくなる場合も。

さらに冬は総じて気温が低いため鼻風邪や冬から春にかけては花粉症やハウスダストによるアレルギー性鼻炎で鼻の症状が起こりやすいため、鼻の粘膜が弱った状態になり、鼻血が出やすくなるのです。

ちなみにチョコレートを食べすぎると鼻血が出る、エッチなことを考えると鼻血が出やすい、といった鼻血の原因としていろいろな説がありますよね。

まず、チョコレートと鼻血の関係ですが、カカオやカフェインと鼻血の関係にエビデンスはないので、そういったことはありません。もちろん食べ過ぎるのは健康によくないのですが、鼻血とは特に関係ありません。

反面、エッチなことを考えると鼻血が出るということはあるかもしれません。性的な刺激が強いと心臓がドキドキして通常より多く体中に血液を送るようになり、血液の量や血圧が上がるので、結果として、血管が集中している鼻のキーゼルバッハ部位から血が出るということは一応ありうるでしょう。

ティッシュを鼻に詰める、上を向く、首の後ろをトントン叩くのはNG

また、鼻血の止め方について、誤解して覚えていませんか?

突然、鼻血が出るとびっくりしてしまって、ティッシュを鼻に詰めるなどしてしまいがちですが、ティッシュをつたってかえって血が出てきてしまい、止血になりません。鼻の粘膜を傷つけてしまうこともあり、さらに出血してしまう可能性も。

また、上を向く、首の後ろのトントン叩く、などもNGです。

上を向くと、喉の奥に血が流れ込んでしまい飲み込むことになります。血は胃の中で酸化されると嘔吐を起こす場合があります。また、喉に流れた血が血栓となり、窒息することも。鼻血が出たら上を向くのは厳禁です。

さらに首の後ろの叩くという対処法もエビデンスはなく止血方法としてはNGです。

正しい止血方法は、まず落ち着いて、椅子などに腰掛けます。

横になって仰向けになると血が喉に流れるので、座った状態になりましょう。少しうつむいたら、出血しているほうの小鼻を指で押さえます。この体勢のまま5~10分安静にしていれば、鼻血はだいたい止まります。外に流れ出た血は、濡れタオルやティッシュで優しくふき取るようにしてください。

20分経っても止まらない、出血量が明らかに多い、顔色が青ざめている場合は迷わずにすぐ医療機関を受診してください。

キーゼルバッハ部位からの鼻血は、ほとんど心配はないのですが、まれに鼻腔内の奥に通っている動脈から出血している場合もあります。

原因には高血圧や動脈硬化があり、血管がもろくなることで出血する可能性があります。そうなると鼻血は止まりにくく、出血量は多くなります。

また、肝硬変などの肝臓の病気により、血液を固める凝固因子が作られにくくなったり、血小板が少なくなる白血病だったりすると、鼻血は止まりにくくなります。

こういった場合は危険な鼻血なので、早めに医療機関を受診することが大切です。

鼻血が出ると、びっくりしていますが、まずは落ち着いて正しく止血するようにしましょう。また冬は鼻の粘膜が乾燥しやすいので、加湿器の活用や意識的に水分補給をすることも鼻血を防ぐポイントです。

取材・文/百田なつき