Google検索の反トラスト法(独占禁止法)違反を巡る裁判の中で、DuckDuckGoのガブリエル・ワインバーグCEOとAppleの機械学習・AI戦略担当シニアヴァイスプレジデントであるジョン・ジャナンドレア氏の証言から、AppleがSafariのデフォルト検索エンジンにDuckDuckGoの採用を検討していたことが明らかとなりました。

Apple (AAPL) Considered Switch Search Engine From Google to DuckDuckGo - Bloomberg

https://www.bloomberg.com/news/articles/2023-10-04/apple-considered-switch-to-search-engine-duckduckgo-from-google



Apple considered ditching Google for DuckDuckGo in Safari’s private mode | Ars Technica

https://arstechnica.com/gadgets/2023/10/apple-considered-ditching-google-for-duckduckgo-in-safaris-private-mode/



AppleはiPhoneやMacに搭載されているウェブブラウザ・Safariのデフォルト検索エンジンにGoogleを採用しています。Googleは「Safariのデフォルト検索エンジン」の座を死守するため、毎年高額のライセンス料をAppleに支払っているといわれています。

GoogleはSafariのデフォルト検索エンジンになるために推定1兆円以上を支払っている - GIGAZINE



ワインバーグCEOは、DuckDuckGoが2018年と2019年にApple側と約20回にも及ぶ会議や電話会談を行ったことを証言しました。この電話会談では、ユーザーのアクセス履歴を残さないSafariのプライベートモードでの検索エンジンにDuckDuckGoを採用するかどうかが議論されたそうです。

ワインバーグCEOは、AppleがDuckDuckGoのプライバシー技術をSafariに統合していると述べ、「私たちはSafariのプライベートモードの検索エンジンにDuckDuckGoが採用されると思って、何度も話し合いを重ねました」と語りました。

一方、ジャナンドレア氏は「私の知る限り、AppleはDuckDuckGoの採用を本気で検討していませんでした」と証言しています。また、2019年2月にジャナンドレア氏は他のApple幹部に宛てたメールの中で、「Safariのプライベートモードでの検索エンジンをDuckDuckGoにするというのは悪いアイデアです」と述べています。



by pixishared

ジャナンドレア氏は、DuckDuckGoをSafariのプライベートモードでの検索エンジンに設定しようとしたのは、DuckDuckGoの方がGoogleよりもプライベート性が高いと思い込んでいたからだと述べています。ジャナンドレア氏は、「DuckDuckGoの検索情報はBingに依存しており、Microsotにユーザー情報を提供している可能性が高いといえます」と語り、DuckDuckGoのプライバシー性はなんら高くないと主張しました。

DuckDuckGoはこの証言についてのコメントを避けましたが、広報担当者は「我が社のプライバシーポリシーによれば、ホスティング業者やコンテンツプロバイダーが検索履歴を作り上げることは防いでいます」と述べています。

なお、Appleは2020年にMicrosoftからBingの買収案を持ちかけられていたことが報じられていますが、ジャナンドレア氏は「2018年の秋と2020年のクリスマス前後に、合弁事業あるいはAppleへのBing売却の可能性について話し合うために何度か会合が開かれました」と証言しており、この報道を裏付けています。

Microsoftは検索エンジンのBingをAppleに売却することを検討していた - GIGAZINE