【田村修一の視点】2023年10月4日 AFCチャンピオンズリーグ ヴァンフォーレ甲府vsブリーラム・ユナイテッドFC
AFCチャンピオンズリーグ MD2 甲府1(0-0)0ブリーラム
19:00キックオフ 国立競技場 入場者11,802人
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甲府がブリーラムを相手に歴史的勝利をあげた。J2所属チームがACLで2年連続タイリーグ3冠の強豪を下すのは、日本サッカーにとっても快挙であるのは間違いない。
とはいえ内容的には決してジャイアントキリングではなかった。甲府は前線から規律に溢れる組織的なプレスをかけ、個の力では上回るブリーラムの選手たちに、ボールは支配させながらもスペースと時間を与えなかった。それも持てる力の120%を発揮するのではなく、自分たちが何をすべきかを全員が理解したうえで冷静に仕事をやり切った守備だった。ただし攻撃はトランジションのスピードとサポートが不十分で、前半はほとんどチャンスを作れなかった。
だが後半途中から、その力関係が変わっていく。疲労を配慮したブリーラムが5バックにシステムを変えたことと甲府の攻撃的な選手交代により、脚が止まったブリーラムに甲府がスピーディな攻撃をゴール前まで仕掛けるようになった。長谷川の決勝点(90分)もその流れから生まれた。
甲府の会心の勝利であると同時に、カタールW杯からオーストラリア・ニュージーランド女子W杯を通じ今日のアジア大会まで続く、日本サッカーのアジアレベルを超えたボトムアップを裏付ける勝利のひとつでもあった。甲府にはぜひグループリーグを突破して欲しい。
田村修一(たむら・しゅういち)
1958年千葉県千葉市生まれ。早稲田大学院経済学研究科博士課程中退。1995年からフランス・フットボール誌通信員、2007年から同誌バロンドール選考(投票)委員。現在は中国・体育週報アジア最優秀選手賞投票委員も務める。